2016年11月15日

西部北太平洋調査航海(6)航海日誌6日目

  • 期間:2016年11月10日~11月25日
  • 場所:西部北太平洋
  • 目的:「海洋酸性化の進行とその影響に関する研究」及び「海底電磁気観測による津波の早期警戒」
  • 担当:杉村


本日の天候は良好、雲の間からはきれいな青空が見えています。
風は意外と強く白波が立ち、うねりは相変わらず大きいですね。
船内 WEBの気象衛星画像を見ると調査海域には大きな雲が・・・
これからさらに荒れるようです。
今は、荒天を避けてきのうとそれほど変わらない海域に避難中です。


気象衛星画像

荒天回避中の船内では何をしているかというと、もちろんテレビを見て・・・ いません。
海の上ではテレビも映りませんし、携帯ももちろん繋がりません。
(今夜は陸ではサッカーのワールドカップの最終予選があったような・・・ うっ!見れない・・・(>_<))
ちゃんと仕事してますよ。
きょうはその一つを紹介します。

今回の航海には、翼足類やクラゲ、その他浮遊生物の飼育実験餌料用に水族館から「シオミズツボワムシ(以下ワムシ)」と「アルテミアの卵」を持参して、ラボの一角で培養しています。
小型の水槽に水を張ってヒーターで水温を25℃に暖め、そこへ3Lのポリ容器にワムシと飼育水を入れて容器ごと沈めることで温度を取ります(ウォーターバス方式)。
ガラス管でエアーも忘れずに供給します。


シオミズツボワムシの飼育セット

そして一緒に持ち込んだクロレラを、毎日ワムシの状態を確認して随時与えています。
きょうは飼育水が汚れてきたので換水しました。


只今ワムシの給餌中!

換水時に濾しとったワムシの一部を研究者の方の顕微鏡をお借りして、状態をよく観察してみました。
シャーレ内を元気に泳ぎまわり、体の中が緑に色づいてクロレラを食べているのがよく確認できました。
船内でも順調に増えていますね。


シオミズツボワムシ
(研究者の木元さんがとっても綺麗に撮ってくれました!)

「よし、よし。」準備万端ですね。
あとは・・・ ワムシを与える生物を採集するだけです・・・ (T_T)。
こうやって実験の準備を航行中にしておくことは我々のとても重要な仕事の1つです。
乗船している研究者のみなさんも同じです。

多少の荒天でも早く北上したいですが、荒れた海はとても危険ですからなかなかそうはいきませんね。
天候が回復することを祈るだけです。

そうそう!
この航海日誌もリアルタイムで、毎日船内で書いてますよ!!
書いた日誌を毎日“えのすい”にメールを使って送って、更新してもらっています。
これも私の乗船ミッションの1つです。

さて、あしたはどんな1日になるのでしょうか。
動きのある1日を期待して・・・ では、またあした。


JAMSTEC(海洋研究開発機構)YK16-16 西部北太平洋「海洋酸性化の進行とその影響に関する研究」及び「海底電磁気観測による津波の早期警戒」を目的とした調査航海

新江ノ島水族館は、海洋研究開発機構(JAMSTEC)と深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究を行っています

深海Ⅰ-JAMSTECとの共同研究-

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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