2023年08月25日

勢水丸 三重県沖生物採集(4)
航海日誌 4日目/黒川

  • 期間:2023年8月22日(火)~8月25日(金)
  • 場所:三重県沖(熊野灘)
  • 目的:生物採集
  • 担当:八巻・黒川


みなさんこんにちは!
きょうはいよいよ勢水丸乗船最終日です。

出発前は、4日間も船の上での生活なんて大丈夫かな? と不安いっぱいでしたが、最終日を迎えると、正直帰りたくないと思うくらい楽しかったです。
ドレッジ、ビームトロール、ORIが海から上がってくる瞬間「今回はどんな生き物が入っているんだろう?」とわくわくしたり、大雨の中カッパを着て、汗か雨か海水か分からず、どろどろになりながら作業をしたり、初めて見る生き物のその姿を見て大興奮したり。
船酔いもなく、本当に楽しい 4日間でした。

最後の夜、部屋の電気を背に真っ暗な甲板に恐る恐る出てみると、そこには満点の星空と広大な海が広がっていました。

私が知っている海洋生物、水族館でくらす生き物たち、まだ見ぬ憧れのあの生き物も、みなこの海のどこかにくらしているんだ、、、じーん、、、涙

生き物たちに感謝するのは当たり前で、最大限生き物たちに尽くし、生き物たちの魅力をたくさんの人に伝え、生き物たち、生き物がくらす海、地球のことを考えてもらえるきっかけを作れるよう、何よりもこのときに感じた感動を伝えられるよう、努力し、学び、精進していかなければならないと、再認識して心が熱くなりました。

朝、身支度を終えて船の甲板に出てみると、とても大きな虹が架かっており、船員のみなさんも私たちも、朝食前にうっとりと虹を眺めてしまいました。

最終日の朝にこんなすてきな虹を見ることができるなんて、、、まるでこの船旅の無事を祝福してくれているよう、、、じーん、、、涙

朝食を食べ終え、さぁ採集道具や備品の片付けするか~!!と、水槽を置いている作業部屋へ行くと、、、
そこにはきれいに整頓され、コンテナに片付けられた道具たちが!
汗と海水でぐしょぐしょになっていたのに、洗って干されてきれいに畳まれた私のカッパが!!
なんと、私が夜爆睡している間に 八巻トリーターがほとんど片付けてくれていたのです!!
星空見て感傷に浸ってる場合じゃない!!!!!
八巻トリーター、ありがとうございました!!!
そしてすみませんでした!!!!!
(水族館に着いたあと、八巻トリーターにこのことを話すと「まぁ 出世払いということで~」と言っていました。
私に後輩ができて一緒に乗船調査に行くことがあったら、この日のことを思い出そう。八巻トリーターのように、寛大で頼れる先輩になろう。そうしよう。)

そうこうしているうちに船は港に着きました。
荷物をトラックに積み込み、生き物を袋に入れてパッキングしたり、海水と一緒にクーラーボックスに入れて、水族館へ無事に運ばなくてはいけません。
深海の生き物たちなので、目指す水温は約 10℃!
あらかじめ冷やしておいた海水に、水族館から持ってきた大量の海水氷を投入し、水温を下げていきます。
小さくて弱い生き物は小分けのタッパーに入れ、蓋が開いてしまわないようしっかりテープで留めます。

お世話になった船員さん方や、北里大学のみなさんに別れを告げ、水族館へ急ぎつつも、途中で生き物の状態や水温をチェックしていきます。

運転中は、〇〇はどこで展示しよう? こういう水槽ならじっくり見てもらえるよね! 食べられる可能性があるから、〇〇を移動して、こっちで展示するのは? もう少しトリートして万全になってから展示に出そう、など、このあとの生き物たちについて話していました。

到着したのは 20時前でへとへとでしたが、タルマワシやウデナガゴカクヒトデ、アカエビ類など、約 20種の生物を無事に搬入することができました。
生き物たちは、もう展示水槽にいる個体もいれば、裏でスタンバイしている個体もいるので、楽しみにしていてくださいね!

今回、我々を海へ連れていってくれた勢水丸、船長さんをはじめとした多くの船員のみなさま、この乗船の場を作ってくださった北里大学の先生方、作業を手伝ってくれたり、ソーティング方法を教えてくれた学生のみなさま、そして、初の乗船であたふたしている私に、手取り足取り多くのことを教えてくれた八巻トリーター、本当にありがとうございました!


三重大学大学院生物資源学研究科 附属練習船「勢水丸」(三重大学)での北里大学海洋生命科学部の乗船実習

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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