2024年10月01日

2023年 ウミガメ類のフィールド調査報告

    “えのすい”では相模湾沿岸における野生動物の状況を知るために、フィールド調査を実施しています。その一環としてウミガメ類の漂着(ストランディング)、上陸、産卵状況について調べています。

    <ストランディング調査> 
    ストランディング調査では種、雌雄、標準直甲長、標準直甲幅、標識タグの有無を記録します。現場での病理解剖や個体の回収は、細菌等を飼育個体へ感染させないため、実施しておりません。

    2023年ストランディング記録2023年ストランディング記録

    2023年ストランディングポイント2023年ストランディングポイント


    2023年のストランディング状況は、当館に連絡のあった件数が22件、当館トリーターによる現場出動件数が18件、そのうちストランディング調査を実施したものが16件でした。連絡件数は2022年より1件増えましたが、2021年からほぼ横ばいの件数となっています。ストランディングの連絡が寄せられたのは、2023年 2月 2日~12月21日で、最も連絡件数が多かったのは 8月の 5件でした。

    ウミガメ類の種別ではアオウミガメ 7件、アカウミガメ 9件でした。

    ストランディングの最も多かったアカウミガメの標準直甲長は、亜成体~成体に相当する平均65.2cmで、相模湾での産卵シーズンにあたる 5月下旬~ 8月に多く確認されたことから、昨年同様繁殖個体群の来遊が示唆されます(北太平洋アカウミガメの平均成熟直甲長:85cm)。
    次いで多く確認されたアオウミガメでは標準直甲長が平均43.7cmで、こちらも昨年同様未成熟個体のストランディングでした(北太平洋西部個体群アオウミガメの平均成熟直甲長:99cm)。

    <産卵調査>
    2023年の産卵調査はありませんでした。

    このフィールド調査は地域のみなさまからの通報を元に実施しています。多くの方々のご協力を賜りましたこと、ここに厚く御礼申しあげます。

    浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

    触ってもいいの?

    どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

    “えのすい”はなにをするの?

    打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
    さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

    生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

    浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

    水族館で救護することはあるの?

    どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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