2024年12月27日

江の島潜水調査 12月

  • 期間:2024年12月4日(水)
  • 場所:江の島周辺
  • 目的:潜水調査
  • 担当:山本・西川


12月の江の島潜水調査を行いましたのでご報告します。
この調査は、月に1回以上同じ海域で潜水調査を行い、刻々と変化している江の島の海が今どうなっているのかを知り、季節的な変化やそのときの生物相を調べようという目的の活動です。
え、そしたら11月の報告は?…11月は2回潜るチャンスがあったのですが、1回目は濁りが強すぎて断念。2回目は海が大荒れで断念。と、悲しみの2連敗。今回、約2か月ぶりの潜水調査となってしまいました…。

11月1回目のチャレンジ。一応潜ったのですが、なーーーんにも見えない。失敗。

11月2回目のチャレンジ。まるで映画が始まりそうな荒れ様でした。失敗。

そして迎えた12月 4日! ようやく穏やかな海が私たちを迎えてくれました。今回の調査では、毎回ヤギの観測を行っている定点と「鵜島」と呼ばれる島の周りの生物相を調べるために、2回に分けて潜水を行いました。
まずは1本目。
私は過去に何度か江の島で潜っていますが、こんなに透明度が高かったのは初めてかもしれません。

エントリーしてすぐにメジナとツノダシの群れを見ることができました。魚影も濃そうです。さて、まずは普段観測を行っているヤギ(刺胞動物)の群落を目指します。コンパスを使いながら目的の場所へと向かうのですが、これが案外難しく。当たり前ですが、水上から見る景色と水中での景色は全然違いますので、今自分がどこにいるのか、どの方向へ何m進まなければならないのかを頭で整理しながら目的地へと向かいます。こればっかりは経験数が必要で、何度も潜ってフィールドを知ることは大切だと実感しました。

ポイントへ向かう途中にオオモンカエルアンコウを見つけました。擬態しているつもりなのでしょうが、どうみてもバレバレです。笑

無事にヤギの群落に到着し、測定開始です。こちらはフトヤギ属の一種。西川トリーターは慣れた手つきで番号札の付いたヤギたちを測定していきます。ここで撮影したものを過去の画像と見比べて、ヤギの成長を観察していくのです。

さあ、計測が終わればあとは生物観察!
2本目は、今の時期の江の島にはどんな生物がいるのか、どんなくらしをしているのか、地先の海を潜り、自然のリアルを肌で感じます。

ウツボ。このあたりを潜ると必ずといっていいほど見ることができます。トラウツボもいました。

みんな大好きアオウミウシ。まだ2cmほどの小さい個体でした。最近個人的に、ウミウシももっと詳しく見分けられるようになれたらなーと思っています。

水中でひと際目立つアカヒトデ。江の島の岩礁地帯にはこのヒトデがたくさんいます。目立つので、「あ、さっきここ通ったな」という感じで海中での目印になります。

釣りをする私としてはとても心が痛いのですが、潜る度に結構「釣りごみ」が落ちていることを実感します。特におもりやイカ釣り用の餌木が多い印象です。私も含め、釣りをするみなさん、気を付けましょう。



最初の観測地点とは別の場所にヤギの群落を発見しました! 上手に写真が撮れなかったのですが(撮影も要練習です!)、ヤギの上には現在私たちが「皇室ご一家の生物学ご研究」で展示しているハナヤギウミヒドラの姿も見ることができました。実は私、自然界でハナヤギウミヒドラをまじまじと観察するのは初めてだったのですが、自分が想像しているよりもなんていうかもっさり? しており、迫力がありました。展示でもそれが再現できたらいいのですが…今後の課題です。普段展示している生物の自然界でのようすを観察することは本当に大切だなーと改めて思いました。

この潜水調査は、潜る人それぞれにいろいろな視点があり面白いです。普段やっていること(ヤギの計測や生物調査)に加えて各自の視点で課題を見つけ、潜る度に記録をとれば、江の島の海がどう変化しているのかがさまざまな方面から見えてくるはず。そしてこれは必ず、私たちが行う展示クオリティの向上に繋がるはずです。みなさまに海のリアルをお伝えするため、調査は今後も続けていきます! 来月の報告をお楽しみに!

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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