12月の潜水調査に引き続き、今月も山本が江の島潜水調査の結果をご報告します! 今回は園山トリーターと共に、江の島の海を見ていきます。
いーい天気!! 今回は天候に阻まれることもなく、絶好の調査日和です。それでは張り切っていきましょう!
…と、その前に。今回はどのルートで進むのか、何を目的にするのか、潜る前にバディ同士で確認します。水中では会話できませんからね。
それでは潜行開始!
前回と比べると少し濁り気味かなーという感じですが、透明度は良好です。今回はウェットスーツではなく、ドライスーツという中に服を着たまま着用できるダイバースーツを使っているため、凍えるほどの寒さはありません(※浸水すると悲惨なことになります)。
周りを見渡せば自分がさまざまな生物に囲まれていることが分かります。まず 1本目は前回と同様観測定点に行き、ヤギ類の成長を確認します。
事前打ち合わせの通り、過去一の速さで観測定点にたどり着くことができました。前回は一瞬道が分からなくなってうろうろしちゃいましたが、今回は最短距離で一発です。こんなに近かったのか…。園山トリーターはてきぱきとタグ付けされたヤギの計測をしていきます。私はいつもこの計測をバディにまかせっきりなので、次回は自分でできるように…記録をとる園山トリーターの記録を撮ります。
前回に引き続きハナヤギウミヒドラ(黄丸)も見つけましたよ!
さて、計測が終わった後は生物調査です。先月と比べて海の中はどう変わっているでしょうか。
一番印象的だったのは、写真のシロガヤ(白いやつ)やクロガヤ(黒いやつ)、ハネウミヒドラという刺胞動物(クラゲの仲間)がたくさんいたことです。あれ? 先月こんなにいたかなぁと不安になるくらい、そこら中の岩肌に生えていました。
これは最近の「相模湾大水槽」の一部。
実はここ数か月、えのすいの大水槽にもハネウミヒドラの仲間がかなりの数(勝手に)出現しており、江の島の海と同調してる! と個人的にはうれしい発見がありました。えのすいでは江の島付近の海水を飼育水として使用しているため、恐らくそこから大水槽に流入したのでしょう。
では、江の島の海の中に戻りましょう。
毎度おなじみのウツボ。この個体は目がくりっとしていてかわいかったです。
砂に隠れているつもりのアカエイ。バレてるよ。
ドチザメ! おなかが大きかったのでおなかに赤ちゃんがいたのかもしれません。
釣りをする人にはおなじみのキタマクラ。サイケな青が美しい。
「えのすいのくらげ展」でも活躍してくれていたムカデミノウミウシ。ミノウミウシの仲間はクラゲのポリプを食べるため、クラゲ飼育との相性がとても良いんです。せっかく江の島にたくさんいるので、飼育のコツを掴み、また展示で紹介したいなと思っています。
40㎝くらいのそこそこ大きなボラの群れ。ボラの大群は江の島大橋からよく見るのですが、水中で見るのって初めてかも。かなりの迫力がありました。この後の動画にも出てきますので、ぜひ見てください!
シロウミウシ。このおもちゃ感! ムカデミノウミウシとはまた違う魅力があります。
潜水調査では海を見るだけでなく、生物採集もおこなっています(もちろん許可をとって!)。今回は展示に使うためのウミシダやサザナミヤッコ、オトヒメエビなどを採集することができました。
江の島名物のサザエ。テトラポッドの周りにたくさん確認することができました!
キビナゴの群れ。太陽光でキラキラ輝いていました。
やっぱり画像だけでは伝えきれない…ということで、今回の潜水調査をまとめた動画を作ってみました!ちょっとブレてるところもありますが、自然界の生き物たちの姿や調査の様子が少しでも伝われば幸いです。
冬になるとなんとなく生き物は減るような気がしますが、意外とそんなこともなく。江の島の海は賑やかでした。特にチョウチョウウオの仲間やツノダシ、動画にも出てきたサザナミヤッコなどの「季節来遊魚」が 1月の海にも普通にいたことに少し驚きです。最近は水温の上昇に伴い、これらの季節来遊魚が普通に冬を越しているそうですが、私は実際にそのようすを見たことがありません。よりリアルな自然をみなさまに伝えられるように、調査を続けていきたいと思います。
また、前回テトラポットのあたりにたくさんのヤギがいたのですが、今回同じ場所に行ってもびっくりするほど少なくなっていました。ひと月でこんなに変わるものなのか…。
「来月の調査も楽しみですね!」
ビタビタに浸水したドライスーツをまとった園山トリーターと共に、江の島を後にしました。
それでは、来月の調査もお楽しみに!
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。