2025年02月17日

江の島潜水調査 2月

  • 期間:2025年2月17日(月)
  • 場所:江の島 鵜島周辺
  • 目的:潜水生物調査
  • 担当:園山・西川


本日は江の島の潜水調査の日、久しぶりに西川トリーターと潜ってきました。
冬の寒い時期は海水温が低く、水中で震えることもあるのですが、海中が澄んでいることが多く、今回も例にもれずクリアな視界でした。
ただ、時間の経過とともにうねりや波が高くなり、通常 2回潜水するところ、1回のみで断念しました。

前回の江の島潜水調査のフィールド活動を見てもらえば分かりますが、前回は山本トリーターと一緒にドライスーツで潜り、通常海水が入って来ない(来てはいけない)ドライスーツが水没しました。。。
今回の水温は、くしくも前回と同じ16℃。短い時間なら大丈夫ですが、長時間の潜水ともなると体温が低下し、ガタガタ震えてしまうため、体が海水に触れないドライスーツを着ます。ある程度水温が高くなれば中に水が入るウエットスーツを着ます。トリーターが水族館内で来ているのはウエットスーツですね。

前回失敗したので、うまく行くかドキドキしながら潜水開始です。
先程も書いたように、水中の透明度は高く、遠くまでよく見えます。また、どうやら今回はドライスーツ成功で澄んだ景色の中、快適に過ごしました。前回よりもワカメが成長してきているのが分かりました。

ただ、前回に比べ、確認できた魚類の種数や個体数が少なく、なかなか良い画像も撮影できませんでしたので、今回は定期的に成長記録を見ているサンゴ類を紹介します。

調査しているサンゴは 3種いて、それぞれ八放サンゴ綱軟八放サンゴ目に分類されるグループに属します。八放サンゴ綱に分類されるグループは、体内から骨片を取り出して種の同定をおこないます。同定には時間もかかり、技術も必要で種を特定するためには少し時間がかかります。そのため、○の一種とすることが多くあります。
よく見られるものの一つはフトヤギ属の一種。

江の島周辺で潜水している水深で確認できるのはおそらく 1種類で、モミノキフトヤギという種に似ています。水中での群体の色は青く見えます。

もう一つ、黄色く見えるのは、トゲヤギ属の一種。

この属に含まれる種の骨片は種名のとおり、特定の場所の骨片が棘上(きょくじょう)を呈していることが多く、属までの同定であれば比較的容易に可能です。

最後の一つは Astrogorgia 属の一種。

これはこれまでもえのすいトリーター日誌で紹介している種です。

これら八放サンゴ綱のサンゴはまるで植物のように見えますが、よく見ると、ポリプと呼ばれる花のようなものが集合しており、ポリプの中央には口があります。水中でもよーく見て見ると、まるで自然がつくる芸術品のように見えてきます。
その姿を展示水槽でも再現し、みなさまにも体験していただけるよう頑張ります。

定期的な調査の対象にはしていませんが、イソバナ属の一種も生息しています。

改めてそんな決意をし、海から上がった私の隣には、ドライスーツの中に冷たい海水をたっぷり入れた西川トリーターが立っていました。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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