2025年02月11日

江の島・フィッシャーマンズ・プロジェクト
藻場保全

  • 期間:2025年2月11日(祝・火)
  • 場所:江の島沖
  • 目的:海底清掃
  • 担当:西川・矢作


こんにちは。愛玩動物看護師の矢作です。

いつもは、“水族館にいるすべての生き物たちの健康を守る”仕事をしていますが、きょうは“水族館の外の海にいる生き物たちの命を救う”活動をしてきたので、そのお話です。

今回私たちが参加してきたのは、NPO法人 江の島・フィッシャーマンズ・プロジェクト(以下略:EFP)の活動の一つである「海底清掃活動」です。EFPは神奈川県江の島で、「楽しく学ぶ」をテーマに環境問題に関するイベントや教室を開催しており、主に海や漁業の大切さを学ぶ体験学習や、海に親しむ「船釣り教室」、海を守るための環境保全活動をおこなっています。その環境保全活動の一環として水産庁・水産多面的機能発揮対策事業を活用し、「藻場保全活動」や「海底清掃活動」に取り組んでいます。

この活動は、漁船に乗って江の島の海の沖に出て、潜水での作業になります。前日と当日の朝の天候や海況を確認し、活動の実施が決まります。今回は私たちの他に 5名のダイバーが参加しました。

当日の朝、片瀬漁港に集合し、機材のセットやブリーフィング(当日の流れ、グループおよびバディの確認、海底清掃をおこなうポイントの説明など)を行います。

天気は晴れ。気温12℃、水温16℃でした。風はほとんどなく、概ね穏やかな海でした。

雲一つない晴れ空が広がっていましたが、風が吹くと海辺はやや肌寒いです雲一つない晴れ空が広がっていましたが、風が吹くと海辺はやや肌寒いです

2グループに分かれて海底清掃を行いました2グループに分かれて海底清掃を行いました

漁網にたくさんの釣り具や雑ごみが絡み合っています漁網にたくさんの釣り具や雑ごみが絡み合っています

漁港に戻ったら、器材の片付けとごみの仕分けを行います。大きなブルーシートの上に、回収したごみをすべて広げます。ごみの種類ごとに別々のかごへ分けていきます。全部で約60kgのごみを回収し、そのうち22.6kgが釣りのおもり、8kgが釣り道具、7kgがプラスチック系ごみでした。他には、空き缶やペットボトル、漁具、ゴルフボールなどがあり、大きな物では、自動車のタイヤや杖などを回収しました。

それぞれのダイバーが回収したごみを、ブルーシートの上に広げていきますそれぞれのダイバーが回収したごみを、ブルーシートの上に広げていきます

種類ごとに大きなカゴに仕分けしていきます種類ごとに大きなカゴに仕分けしていきます

これらは全てプラスチック系のごみに分類されますこれらは全てプラスチック系のごみに分類されます

作業がひと段落したら、全員で活動の振り返りをおこないます。実際の海のようすはダイバーしか分からないので、参加者が撮影した水中写真をモニターに投影しながら海底ごみのようすや、生き物の生息状況などを共有し、次回の活動に繋げていきます。

透明度も良く、生き物の観察もできました透明度も良く、生き物の観察もできました

今回ダイバー 7名で、約60kgの海底ごみを回収することができましたが、海底にはまだまだごみがたくさん残っています。
先日、地球上のすべての海で、人間が排出しているさまざまなごみの影響が確認されているという特集を目にしました。漁網が体に絡みついたアザラシやジンベエザメ、エサと間違えてビニール袋を口に含むウミガメなど。多くの人にとって、心の痛む映像だと思いますが、決して今に始まったわけではありません。

江の島、相模湾さらには世界の海には想像を絶するほどの大量のごみがまだまだ沈んでいるのだと容易に想像できます。本来豊かな生態系が存在する海の中に、あってはならない大量のごみ。ダイバーにしかできないこと、ダイバーだからできること、ダイバーでなくてもできること。まだまだたくさんあると思います。えのすいトリーターにできること、少しずつ積み重ねたいです。

バディの西川トリーターとともにバディの西川トリーターとともに

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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