2025年06月10日

江の島潜水調査 6月

  • 期間:2025年6月10日(火)
  • 場所:江の島周辺
  • 目的:潜水生物調査
  • 担当:西川・渡部


前回の調査から少し間隔は短いですが、6月の調査をおこないました。
今回は雨が降っていましたが、海況がよく波もほとんどない穏やかな状態でした。 初めてこの場で潜る私にとってはいい条件が整っていました。 今回のバディは、江の島の潜水調査に何度も参加している西川トリーターです。 初めての調査でしたが、西川トリーターが事前に今回の調査の流れやルートなどを丁寧に打ち合わせしてくださったので、安心して潜ることができました。 野外での調査は、安全が第一です!
準備が整いました。それではいってきます!

前を泳ぐ西川トリーター前を泳ぐ西川トリーター

今回の調査のミッションは主に3つ。 定点調査とヤギの成長記録のデータ収集、そして生物調査です。
最初の2つは熟練の技が必要なため、私は3つ目の生物調査を中心におこないました。

定点撮影のようす定点撮影のようす

定点撮影では、毎回同じ場所で360度撮影をおこなっています。 海のようすは、季節によって変化します。 今はワカメがたくさん生えていますが、きっと夏になるとまた違った風景を見ることができるのでしょう。

定点観察ポイント ワカメがたくさん!!定点観察ポイント ワカメがたくさん!!


定点観測を終えたら、ヤギの測定に向かいます。
測定ポイントへ向かう途中、小さな生き物が目に留まりました。

シロガヤ 先月に引き続きたくさんのコリビュラ(生殖体)がありました。シロガヤ 先月に引き続きたくさんのコリビュラ(生殖体)がありました。

シロウミウシ 今回の調査で最もたくさん見られました。シロウミウシ 今回の調査で最もたくさん見られました。

コモンウミウシ 黄色い水玉模様がかわいらしい。コモンウミウシ 黄色い水玉模様がかわいらしい。

あっという間に、ヤギポイントに到着です! それでは測定開始!
西川トリーターは手際よく測定をおこなっていました。 まさに熟練の技です! ちなみに、ノギスは園山トリーターお手製だそうです。

お手製のノギスでヤギを測定しているようすお手製のノギスでヤギを測定しているようす

ふと、目線を上げてみると、目の前にキタマクラがいました!
好奇心旺盛で、こちらのようすをうかがっていました。 釣りの仕掛けが切られてしまうことなどから、釣り人にはあまり好まれていませんが、水中で見たら少し印象が変わるかもしれません。 調査のようすを見守ってくれました。

こちらを見つめるキタマクラこちらを見つめるキタマクラ


さて、無事にヤギの測定を終えたので、ここからは2本目も含めて生物調査です。
一番印象に残ったのは、ハコフグの谷です! 10個体は超えていました。


他の場所にもちらほらハコフグはいましたが、こんなにたくさん集まっていたのはこの場所だけでした。 程よく水流があり、ワカメが生えていました。 ハコフグにとって過ごしやすい環境が整っているのでしょう。 いつか、ハコフグいっぱいの谷を水族館で再現して、みなさんに見ていただけたらいいなと思います。 実際に海に潜ると展示のアイディアも浮かびます!

そしてもう一種類! 不思議な生き物と出会いました。
その名もシシイロニセツノヒラムシです。 ウミウシにも似ていますが、ひらひらと泳ぎます。
海藻があるときに見られる種のようです。

黒い淵とオレンジのグラデーションでおしゃれな見た目です黒い淵とオレンジのグラデーションでおしゃれな見た目です

ちなみに、ヒラムシはサナダムシやコウガイビルと同じ扁形動物門の仲間です。 ウミウシは、軟体動物門に分類されるので、分類学上はかなり違いがありますが、いずれも似たような環境に生息しているので、派手な色合いは身を守るのに役立っているのかもしれません。

最後はワカメの森に戻ってきて、調査は無事に終了です!

ワカメの森ワカメの森

よく見ると先端が欠けているワカメがほとんどでした。
水温が上がってきたので、来月の調査ではワカメはあまり見られないかもしれませんね。

さて、今回は別の予定が入ってしまった園山トリーターの代打だったので、次回いつ潜れるかはわかりませんが、また潜る機会があれば今回の調査との変化を感じ取れるようにしたいです。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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