2025年06月10日

江の島潜水調査 5月

  • 期間:2025年5月28日(水)
  • 場所:江の島周辺
  • 目的:潜水生物調査
  • 担当:山本・西川


2か月以上ぶりとなってしまった潜水調査! 先月は「天気は」良かったのですが、ことごとくタイミングが悪く、予備日も含めて海が大荒れ。現場に着いた時には「入ったらヤバい」海が待ち構えていました。さては調査メンバーの中に海を荒らす人がいるなぁ…?
2月3月は他のメンバーが潜っていたため、私は4か月ぶりの潜水となりました。
さて、今の江の島の海はどんな感じなのでしょうか。今回は西川トリーターと共に調査へ向かいます。それでは潜航開始!

に、濁っているーーー! 透明度が高かった冬と比べると、かなり濁っていました。はぐれないように気を付けながら、いつもおこなってっているヤギ類の観測点を目指します。

海藻(ワカメ)がすごい! 今までこの時期に潜ったことが無かったのもありますが、江の島の磯でこんなに海藻が生えているところを初めて見ました…! 1月に潜った時とはまるで別の場所のようです。うーん、この透明度が悔やまれる…

「!?!?!?」移動中、ふと視界に「クラゲ」の動きがあり目をやると、そこには傘径 30㎝ほどの立派なユウレイクラゲが…! 西川トリーターに知らせるために、過去一の力でコーリング(水中で意思疎通するためにチャリチャリ鳴らす道具)を振りました。

すごい!! えのすいクラゲチームでは、江の島で(ほぼ)毎日クラゲ採集をおこなっていますが、こんな立派なユウレイクラゲは見たことがありません。残念ながら大きすぎて採集はできませんでしたが(ギリっギリまで悩みました…)、大興奮で撮影をおこないました。迫力満点の拍動を最後の動画で入れておりますので、ぜひご覧ください。これだけでも潜ってよかったーと思えるような、いい出会いでした。

さて、若干迷いつつ、目指していたポイントに無事たどり着きました。ヤギを傷つけないように気を付けながら、撮影と記録をこなします。
さあここからは生物調査。今の時期、江の島周辺の海にはどんな生き物たちがいるのでしょうか。

この潜水調査が始まってから、すっかりクラゲサイエンスのレギュラーメンバーとなったハナヤギウミヒドラ。ヤギ類と共に江の島では一年中見られるおなじみの種です。

今回の潜水では、ウミウシの中でも特にシロウミウシをたくさん見ることができました。場所によっては数個体で集まっていることも。逆にいつ潜っても大体いるムカデミノウミウシは一匹も見なかったです。

こちらもおなじみ、クラゲの仲間であるシロガヤ(白いの)やクロガヤ(黒いの)がたくさんいましたが、今回初めて見たのがこのドングリガヤ(茶色いの)。これらは刺胞動物ですので、こう見えてしっかり毒を持っています。顔を近づけすぎたり、直接手で触ったりするのは避けた方がよさそうですね。



今回、この画像のように、多くのシロガヤに黄色い何かがついており冬の状態と違います。「何か貝類の卵かなあ」なんて言っていたのですが、後から調べたところ、これはシロガヤ自身の「corbura(コルビュラ)」と呼ばれる生殖体(卵や精子)を作るところのようです。クロガヤやドングリガヤにも見られましたので、今の時期が繁殖期なのですね。これを知れたことが、個人的に今回の潜水で一番の成果でした。



あ、ハコフグ。ハコフグも潜ると必ず見ることができる定番の魚ですが、今回はちょっとおもしろい行動を見ることができました。一匹のハコフグについていくと…。



岩と岩の切れ目になっている流れが速いところに、なぜか10匹を超えるハコフグが集まっています…!



水の流れに乗って行ったり来たり。ハコフグたちは何をしているのでしょうか…。これ、ちょっと画像では伝わりませんので、ぜひこの後の動画を見ていただきたいです。まるで「うわあああああああ」という声が聞こえてくるように、波に流されているのです。結局意味のある行動だったのかはよくわかりませんが、おもしろい光景を見ることができました(笑)。


ということで、透明度は悪かったのですが、いろいろと内容の濃い潜水調査となりました。今回の調査で撮影した動画を編集してみましたので、ご覧いただけるとうれしいです! 私が次に潜るころにはすっかり夏になっているでしょうか。次の海も楽しみです!
それでは。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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