みなさんこんにちは! 八巻です。
ついに始まった D-ARK調査、7月 9日は前日に投入したベイトカメラを回収後、「KM-ROV」による初潜航、#314をおこないました!
南北大東島はそれぞれが水深2,000mほどの海底からそびえたつサンゴ礁由来の山です。特に1,000m前後の水深からは極めて急峻になっています。
 南北大東島の3D海底地形図
南北大東島の3D海底地形図きのうベイトカメラを投入したのは、南北大東島の間の海底で、今回も 3つとも無事回収できました!
今回、回収したベイトカメラの餌に集まっていた生き物は、ヨコエビが数匹と小さなコンゴウアナゴだけと、駒橋第 2海山の時とは打って変わって少なくなっていました。
 ほとんど生き物のいないベイトカメラの餌
ほとんど生き物のいないベイトカメラの餌同じような水深でも集まってくる生物が海域によって大きく異なるのはとても興味深いです。カメラにはどんな映像が映っているのか、見るのが楽しみです!
さて、「KM-ROV」#314潜航では、冒頭にご紹介した名称募集によって名付けられた機器、「Χスコープ」がついに登場します!!
「KM-ROV」に搭載された「Χスコープ」がこちら。
 Χスコープ
Χスコープちいさなくぼみや穴に「Χスコープ」を差し入れ、内部を観察します。去年から大きくパワーアップしたのが、アクリルドームの中にカメラを入れて、自由に見る角度を変えられるようになったという点です。早く実際の映像を見てみたくなります。
今回の潜航は「Χスコープ」の試験運用だけでなく、新たな洞窟を求めて南大東島の北西の急峻な海底、水深約800mから550mを観察しました。
南北大東島の深めの水深はこれまで観察したことがなかったので、どんな海底になっているかも楽しみです。
実際に行ってみると、これまで駒橋第 2海山で見てきたような、八放サンゴやカイメン類の多いにぎやかな海底でした!
 南大東島の水深約800 mの海底
南大東島の水深約800 mの海底航走を続けると、新たな洞窟も発見。
 新たな洞窟
新たな洞窟そして、久しぶりに会いました!! D-ARK調査によって日本で初めて発見、和名がつけられた「ホラアナヒスイヤセムツ」です! 名前に冠する「ヒスイ」の通り、とてもきれいなエメラルドグリーン色に輝く体色をしていることが特徴です。
また、この南北大東島の600m~ 300mほどの海底に優占して生息している魚種でもあります。
今回はちょっと遠めの写真ですが、本当に美しい色ですね!
また接写で撮れたらあらためてご紹介しますね。
 ホラアナヒスイヤセムツとオーストンガニ
ホラアナヒスイヤセムツとオーストンガニ潜航を通して「Χスコープ」を使うくぼみや穴を探していましたが、急峻で「KM-ROV」を固定できるちょうどよい場所が見つかりませんでした。そこで、今回は試験運用ということで、通常の海底で使用してみることに。実際に使ってみると、映像の見え方が若干ぼやけてしまいました。
今回の試験運用で改善点も見つかりましたので、次回の穴での運用に活かすことにしました。
 「Xスコープ」からの映像
「Xスコープ」からの映像順調な滑り出しだったのですが、私はこの日の夜から体調を崩してしまい、一時船を降りることになってしまいました。
たくさんの方にご迷惑をおかけしてしまい、本当に申し訳ありません。
一方で、約 1か月ぶりに南大東島へ下船することになりましたが、イベントのときにお世話になった方々にお会いすることができたのはとてもうれしかったです。
温かくご対応していただき、本当にありがとうございました。
何とか病院での検査を経て、船を降りた翌日、船に戻ることができました。船に戻ると、皆さんがとても明るく出迎えてくださいました!
改めてよろしくお願いいたします。
 海から見た「かいめい」
海から見た「かいめい」その夜の釣獲調査ではモンスター級のイソマグロが上がりました!
 釣獲調査で釣れた巨大イソマグロ
釣獲調査で釣れた巨大イソマグロ巨大な魚でも鰭(うろこ)立てをしっかりして、標本撮影後、標本化の処理をおこないます。
これからの釣獲調査もとても楽しみです。
 イソマグロの鰭(うろこ)立て
イソマグロの鰭(うろこ)立て
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
オーシャンショット研究助成事業は日本財団の助成を受けて笹川平和財団海洋政策研究所によって実施されている。