2025年07月15日

D-ARK 航海 2025(7)
「クラムボン」潜航と「ラビリンス」二度目

  • 期間:2025年 7月 2日(水)〜 8月 3日(日)
  • 場所:九州・パラオ海嶺、大東島周辺海域
  • 目的:深海石灰岩洞窟における遺存種の把握とその分類学的研究
  • 担当:八巻


みなさんこんにちは! 八巻です。
現在調査をしている大東島付近はこの時期天気が急に崩れることがあるようで、時折スコールのような土砂降りになります。 普通雨の日に写真をとっても降る雨粒まで映ることはありませんが、写真でもくっきりです。

写真でもわかる土砂降り写真でもわかる土砂降り

南の海に来た!という実感がわいてきます。

7月 14日は「KM-ROV」整備日ということで、「KM-ROV」の潜航はなし。 「クラムボン」 #52潜航とベイトカメラの投入です。
「クラムボン」は南大東島北東の急斜面 水深約 580mから 400mを調査して、新たな洞窟を探す潜航をおこないました。 ベイトカメラは南北大東島の間 1,500mほどに投入、夜間はライトトラップやプランクトンネットを実施しました。

日中の「クラムボン」では小さなオキノシマウツボを観察したり、

オキノシマウツボオキノシマウツボ

本航海初のウミトサカ類となるクダヤギ類を採集したりしました。

クダヤギ類クダヤギ類

また、水深 460m近くでイモガイの仲間を採集。

イモガイ類イモガイ類

温かい南の海のイメージが強かったイモガイですが、南の海とはいえこんな深海にいたのは素直に驚きました!
また、小さなかわいいゴマフウリュウウオも採集できて、元気なうちに魚類研究者の方が標本写真を撮影、

ゴマフウリュウウオの標本写真撮影ゴマフウリュウウオの標本写真撮影

その後飼育に挑戦中です!!

水槽のゴマフウリュウウオ水槽のゴマフウリュウウオ


「クラムボン」潜航終了後、ベイトカメラを投入、

ベイトカメラ投入ベイトカメラ投入

夜間のプランクトンネットの準備などをおこないました。

プランクトンネットの準備プランクトンネットの準備

プランクトンネットの作業のようすはまた別の機会にご紹介しますね。

7月 15日の朝にベイトカメラの回収をおこない、午後から「TPF2」で再び「ラビリンス」を目指しました。
前回ケーブルドラムにまかれるケーブルが緩んでしまう問題は、前日に「KM-ROV」チームの方が細工してくだいました。

ケーブルドラムに細工を施す「KM-ROV」チームの方々ケーブルドラムに細工を施す「KM-ROV」チームの方々

ケーブルをスポンジで押さえて緩まないようにし、「KM-ROV」のマニピュレーターを使ってケーブルを巻く位置を調整するシフターをつけてくださいました。

改善されたケーブルドラム改善されたケーブルドラム

いざ再び「TPF2」で洞窟の中へ! 今回は左の割れ目の奥から観察することにしました。
左の割れ目は右の割れ目へ続く横穴の、もう少し奥で行き止まりになっていました。 そのあたりに、残念ながら採集はできなかったものの、ヒトツトサカとも違う、とても大きなポリプを持つ八放サンゴの仲間を発見しました。


未知の八放サンゴ類

「TPF2」の潜航の映像を見る研究者の方々は、本当に楽しそうです!


「TPF2」の潜航映像を見る研究者の方々

もちろん私も同じ顔をしていることでしょう(笑
その後、洞窟内にある小さな裂け目の奥底に溜まった砂やサンゴのガレを採集、そこに隠れるゴカイ類やヒモムシ類ほか、小さな生物をねらいます。


裂け目の奥底の砂を吸う

ちなみに「TPF2」も、先日「クラムボン」で紹介したものと同じ採集装置であるスラープガンを備えていますので、このようなサンプリングができるのです。
このように観察や採集をしていると、飛ぶように時間が過ぎていき、結局この日は左の割れ目だけで終了の時間が来てしまい、「KM-ROV」へ帰還、右の割れ目の奥にある橋の向こうは、さらに次の機会となりました!
「TPF2」から見る「KM-ROV」は、いつ見てもとてもかっこいいです!!


「TPF2」から見る「KM-ROV」

あすはもう一つの南大東島にある深海洞窟「ピッグ・ノーズ」の探査をおこないます!


本プロジェクトは、日本財団の支援を受けて笹川平和財団海洋政策研究所が実施する「オーシャンショット研究助成事業」により助成を受けたものである。
オーシャンショット研究助成事業は日本財団の助成を受けて笹川平和財団海洋政策研究所によって実施されている。

・JAMSTEC(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)KM25-06「かいめい」/「KM-ROV」 D-ARK 航海
・新江ノ島水族館は、JAMSTECと深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究をおこなっています。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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