みなさんこんにちは! 八巻です。
あっという間に調査もほとんど半分が過ぎようとしています。
16日、17日とも 「KM-ROV」 と 「Tripod Finder2 (TPF2)」 で、南大東島の海底 約 420mにある深海洞窟 「ピッグ・ノーズ」 の探査をおこないました。
「ピッグ・ノーズ」 は、その名の通り、二つの大きな穴が空いた洞窟で、「豚の鼻」 のように見えることから、その名前をつけることになりました。
まずは左側の奥に抜けていないであろう穴を目指しつつ、入口のあたりで観察や採集をおこないます。
最初に、この洞窟付近で圧倒的に優占しているウデボソヒトデ類とアカサンゴスナギンチャク属の一種を観察しに行きます。
入口の周囲はウデボソヒトデだらけ、穴の天井もウデボソヒトデだらけです。
寄ってみるとポリプ一つ一つまでくっきりと見え、とてもきれいです。
しかしこのアカサンゴスナギンチャク属の一種は、まさか別の八放サンゴの骨格にこんなにたくさん付着しているとは思わず、去年初めて発見した時は、研究者の中では骨格を持つ六放サンゴのキサンゴの仲間ではないかということになり採集しました。 しかし採集してみるとポリプは付着しているだけで中身に骨格がなく、ポリプも間近で改めて観察をしてスナギンチャクのものであることが確認され、スナギンチャクの仲間であることが分かったのです。 スナギンチャクはほかの生き物に付着していることが多いので、ダメサンゴの骨格に付着していたのも納得です。
ただ、その後死んでいると思っていたダメサンゴの骨格からもポリプが出てきて、やっぱり八放サンゴ? どういうこと? ということにもなり、とてもややこしい生き物でした(笑
改めて、アカサンゴスナギンチャク属の一種は、黄色いスナギンチャクの仲間で六放サンゴ類に分類されます。 このスナギンチャクはダメサンゴという八放サンゴの骨格に付着して生活をしています。
そのような目で改めてポリプを見ると、より面白く見えるのではないでしょうか。
割れ目にはハナギンチャク類が確認されたりしました。
17日、「KM-ROV」 #319 潜航
翌日の17日は、前日と同様に「ピッグ・ノーズ」で潜航をおこない、南大東島の小・中学校とオンラインでつなぎ、船上、潜航映像を南大東島の子どもたちに見てもらいながら、解説やクイズを実施しました。
この日は前日に確認できなかったタコ類が観察されたり、アカサンゴスナギンチャク属の発光のようすを観察したり、大いに盛り上がりました!
オンライン特別授業後、イソギンチャクだと思って採集した生物が、
実はシンカイウミウシ属というとても珍しいウミウシである可能性が高いことが分かりました。
現場では触角も二次鰓も見えず、まったく違う形をしていたので本当に驚きです。
さて、この日の潜航後、釣り採集でアオスミヤキが釣れたり、ライトトラップではバショウカジキの稚魚がとれたりと、成果の多い一日でした!
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
オーシャンショット研究助成事業は日本財団の助成を受けて笹川平和財団海洋政策研究所によって実施されている。