みなさんこんにちは! 八巻です。
長い航海もいよいよ後半戦です!
さて、これまでに北大東島の「ラビリンス」と南大東島の「ピッグ・ノーズ」、2つの洞窟の探査をおこなってきました。おおむね中のようすを知ることができましたが、「ラビリンス」の右の割れ目の奥をまだ見ることができておらず、気になるところです。
しかし、海況と風向きが悪く、もう一度「ラビリンス」に行くことがなかなかできません。したがって、「クラムボン」や「KM-ROV」を使って新たな洞窟を探しつつ、これまでまだ使用していない、洞窟の中に置くことを想定した小型の設置型カメラ装置「Cave Cam」の試験をおこないました。
そこで 7月 18日は「クラムボン」#53、#54潜航で南大東島の北側で洞窟の探索をおこない、7月 19日は北大東島の西側で「KM-ROV」#320 潜航を実施、「Cave Cam」の初使用を兼ねながら洞窟を探しました。
7月 18日 「クラムボン」#53、#54潜航。
2潜航ともほぼ同じ海域で調査をおこないました。調査水深は 約 540–730m。大規模な洞窟は確認できなかったものの、非常に複雑な地形で、くぼみ~中型程度の穴が複数見つかりました。
生物量は豊富で八放サンゴのなかまが特に目立ち、中でもトクササンゴ類が優占していて巨大な群体がたくさんありました。
7月 19日 「KM-ROV」#320潜航。
北大東島西側の水深約770 mに着底、この海域にしては珍しい砂地でした。
まずは「Cave Cam」の設置です。
「Cave Cam」は胴体部がLED、上部がアクリルドームになっていて、中に360度カメラが入っています。胴体部のLEDで洞窟内を照らしつつ、360度カメラ動画を撮影、洞窟内のようすを観察するものように設計された観測機器で、少なくとも15時間の録画が可能です。
こちらの生物は先日の「ピッグ・ノーズ」で見たシンカイウミウシ属の一種の例がありますので、イソギンチャクなのかウミウシなのか、一同悩みました。さらにはこれまでもこれに似た色形のフルイサンゴの仲間も採れていて、そのフルイサンゴもホネナシサンゴというよく似た他の生き物と間違えて採集した経緯もあり、今見ているこの生物がイソギンチャクなのか?ウミウシなのか?フルイサンゴなのか?はたまたホネナシサンゴなのか?議論がありましたが、とりあえずくっついている石ごと採集しようとしたところ、ふわふわと流れていってしまいました。
結論、イソギンチャクやホネナシサンゴはそう簡単に剥がれないし、フルイサンゴは基本的に砂の上にいますので、ウミウシだったのでは?ということで落ち着きました。欲しかったです!
今回の潜航ポイントは基本的には砂場の海底で、時々岩が現れます。岩にはキンヤギ類やカイロウドウケツ類などの付着生物が、ここぞとばかりにくっついています。カイロウドウケツにはさらに付着性のクシクラゲ類が付着していました。
その後「Cave Cam」回収のために戻ったところ、約 70m手前からもわかるくらいの光量でした。
無事回収し、本日の潜航終了となりました。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
オーシャンショット研究助成事業は日本財団の助成を受けて笹川平和財団海洋政策研究所によって実施されている。