みなさんこんにちは! 八巻です。
調査日程も 2/3近く経ちましたが、台風の影響で海況が悪くなる可能性が高まり、大東島で調査できるのは、まずは 7月22日までとなりました。 その後天候が回復し次第戻ってくる予定です。
20日は 「KM-ROV」 #321 潜航を実施、前日の 19日に「クラムボン」で潜った大東島北岸沖の調査を改めておこない、「Ⅹスコープ」も再登場、見つけたくぼみや穴の中の観察を試みることになりました。
この海域は切り立った崖や穴、割れ目が複数あり、
トクササンゴやキンヤギ、オオキンヤギ類が岩肌に多数付着、優占しています。
そしてこの頻繁に出現する穴や割れ目の観察こそ、「Ⅹスコープ」の出番となります!
「Ⅹスコープ」は耐圧容器の中に角度を変えられるカメラを内蔵しており、まさに内視鏡のように、差し込んだ穴の中や岩の隙間で、「Ⅹスコープ」自体を回すことなく見る角度を変えることができる機器です。
結果、岩の下にいるウデボソヒトデや、奥にいるエビ類も観察することができました。
もう一つちょうどよい穴を見つけました。
「Xスコープ」を入れてみると、穴の奥まで観察できます。
「Xスコープ」のカメラのあたりにはチューブがついていて、そのチューブの先から水を吸い込み、環境DNAを採取できるようにもなっています。 観察した生き物を環境DNAでも確認できるほか、観察できなくても穴の奥にいる生き物も環境DNAから推定することができます。
この日の「Xスコープ」運用で得たデータや改善点を次に活かし、さらなる良い観察を目指していきます。
21日は午前中に「クラムボン」 #55 潜航で再び同じ海域を調査し、午後に北大東島の南西 水深 約 1,900mの海底にベイトトラップを設置しました。
「クラムボン」 で潜航したポイントは 先日の「KM-ROV」とほぼ同じでしたが、今回は垂壁が多く感じ、壁面に巨大なトクササンゴが群生しているようすを何度も観察しました。
合計4回潜ったこの海域は、今回の調査でも屈指の面白い海底でした。 複雑な地形から作られる潮の流れが大量のプランクトン・懸濁物食の生物を育み、他の生物たちを支える礎になっているようすは、海山よくと似た雰囲気も感じました。
加えて大小の穴の中をさらに詳しく調べることで、大東諸島の急峻な海底特有の生物多様性を把握できることでしょう。
「クラムボン」の潜航後は今回の調査で初登場、ベイトトラップです。
ベイトトラップはその名の通り、餌で生き物を誘き寄せて、採集する機器です。
今回は四角いフレームを網で囲い、中に餌を入れています。
また、回収は「KM-ROV」を使っておこなうため、正確な位置がわかるように音響発振器も取り付けてあります。
このベイトトラップを南北大東島が挟む海峡の水深 約 1,900mの海域に投入、翌日回収することで、大型の甲殻類や魚類の採集を狙います!
あしたはこのベイトトラップを回収する「KM-ROV」 #322 潜航をおこない、14日間過ごした大東島海域を離脱します。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
オーシャンショット研究助成事業は日本財団の助成を受けて笹川平和財団海洋政策研究所によって実施されている。