みなさんこんにちは! 八巻です。
ついに大東島海域での調査が、一旦の最終日となってしまいました。
7月22日、午前中にベイトトラップの回収をおこなう「KM-ROV」#322 潜航をショートダイブでおこない、そのまま大東島海域を離脱、台風 8号を回避するため、高知県足摺岬沖へ向け回航となりました。
「KM―ROV」#322 潜航は、北大東島南西沖水深約1,900mでおこないました。主な目的はきのう投入したベイトトラップの回収ですが、これまで潜ったことのない海域のため、海底観察も兼ねて、少し離れた場所から、目標点となるベイトトラップの着底点へ向かいます。
なお、ベイトトラップには複数の音響発振器が取り付けてあり、水中でも正確に位置がわかるようになっているため、目標点とすることができます。
海底につくと、そこはさらさらのサンゴ砂で、ところどころに大きな石灰岩が転がっているという、ここ数日見てきた起伏にとんだダイナミックな海底とは打って変わって、静かな雰囲気でした。
実際目に見える生物量も少なく、時折魚が泳いでいく程度です。
お分かりでしょうか。この砂から立っている棒のような羽のようなもの。羽ペンのようなその姿から、英語では“sea pen”と呼ばれるウミエラ類です!
ウミエラ類は、これまでたくさん見てきたヤギ類などと同じ八放サンゴのなかまですが、砂や泥の中に体の一部を埋めていて、刺激を受けると砂の中に引っ込んでしまいます。案外深くまで埋まっていることが多く、我々人間が潜っての潜水採集でも、捕まえるのに難儀することもしばしば。
しかし今回はようやく見つけたこのウミエラを、何としても採集したい! ということで、20分くらいかけて掘り出し、採集に成功しました!
無事採集できた時は一際大きな拍手が沸き上がりました!
さて、しばらく進むと、ありました! ベイトトラップです。
近づいてみると、イバラガニの仲間が何匹か集まっています…が…、トラップの中には 1匹も入っていないという想定外の事態でした!
しかし、みな惜しいところにはいるのです。あと一歩、マニピュレーターで少しだけイバラガニ類の後押しをしてやりトラップの中へ追い込んだところ、無事トラップの中に入ってくれました!
採集完了です! その後「KM-ROV」でベイトトラップを回収、浮上しました。
そして北大東島をバックに集合写真を撮り、この海域を後にしました。
この22日間で飼育部屋となっている飼育コンテナもちらかり、低温室も生き物たちでいっぱいになっていました。しばしの回航と避泊は、飼育生物の世話や飼育コンテナの整理に充てたいと思います。
また大東島に戻って来られることを信じて、足摺沖を目指します!
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
オーシャンショット研究助成事業は日本財団の助成を受けて笹川平和財団海洋政策研究所によって実施されている。