みなさんこんにちは! 八巻です。
ナマコの大発光を見た翌日の 7月26日、台風の予報が好転し、大東諸島方面へ戻って数日間は調査ができる兆しが見え始め、いちるの望みにかけて大東諸島方面へ向けて回航を始めました。
しかし、翌27日に再び予報が暗転、駿河湾へ引き返すことになり、残念ながら今年度の大東諸島での調査はここまで、以降は来年度へ持ち越すことになりました。
とはいえ、予備海域の駿河湾での調査日はまだ数日残っています。
来年度も続く、この D-ARKプロジェクト 3年目に備えて、できる試験は可能な限りたくさん実施しておきたいところです。
そこで、28日午後におこなった「KM-ROV」#324 潜航では、「ラビリンス」や「ピッグ・ノーズ」で実施予定だった「Tripod Finder2(TPF2)」を使って Cave Camを設置、回収するというオペレーションに挑戦しました。
今回の潜航では、「TPF2」へ 2つの新たな機器を搭載しました。
まず一つ目に、Cave Camを運ぶためのマニピュレーター。Cave Camを運ぶ他にも、生物をつかんで採集する用途に使用できます。
そしてもう一つ、スラープガンで吸った生き物のようすを観察するためにキャニスタ内部を見る確認用カメラです。
このカメラがあることによって、本当に狙った生き物を吸えたのか確認することができます。加えて、すでにキャニスタに生き物がいるとき、強く吸いすぎて生き物を損傷してしまわないよう、生き物の状態を見ながら吸う強さを調節することもできます。
ということで、今回の潜航のメインミッションは、「TPF2」のマニピュレーターで実際に「Cave Cam」を運ぶこと。そして生き物の状態を確認しながら生物を採集すること、の二つです。
なお、「ドロシー」について、登場を楽しみにされていた方、大変申し訳ございません。
今年度の実調査への投入を予定していたのですが、調整が難航し、活躍の舞台は来年度へ持ち越しということになりました。
来年度は今回の潜航でパワーアップした「TPF2」の 2つの機能に加え、マニピュレーターの角度を変えられるようにしたり、「ドロシー」側にもケーブルドラムをつけたりと、さらに高性能な Mini ROV「ドロシー」として、登場します! 乞うご期待!
さぁ、いよいよ「KM-ROV」#324 潜航の始まりです!
駿河湾で深海洞窟は見つけられていませんから、通常の海底で「TPF2」の発着を行うことになりました。
水深約750mの海底に到着。海底は泥に覆われて目標物がなく、濁りや浮遊物も多いためこれまでと随分違って見えます。着底すると泥が舞ってしまうため、Cave Camの“受け渡し”は、数mの高度をとって行います。
作戦としては、Cave Camを一度「KM-ROV」のマニピュレーターで持ち、それを「TPF2」が受け取る、というものです。水中でのロボット同士の機材の“手渡し”もなかなか見られる景色ではありません。
準備は整い、「TPF2」が Cave Camを無事受け取った!
と思った直後、そのまま泥の海底へまっさかさまに落ちていってしまいました!
Cave Camの水中重量を前方についたマニピュレーターで受けた結果、前方へ重みが偏ってしまい、「TPF2」のスラスタの垂直方向の推力が Cave Camの水中重量に負けてしまったという結果のようです。
ちなみに「ドロシー」はマニピュレーターの角度を変えることができるため、「TPF2」より Cave Camの重さを中心で支えられる設計でした。来年度は Cave Camの水中重量と「ドロシー」の垂直方向の推力、重心を再調整して挑むことになります!
やはり実際にやってみないとわからない事は多く、今回試験ができたことで、来年度につながる結果を得ることができました。
Cave Camの回収は明日「KM-ROV」が行うことになり、その後海底の観察と採集を実施しました。
この水深はユメナマコに加え、ミズテングも複数観察しました。
オオグチボヤも発見!
柄がないように見えるオオグチボヤのなかまもいました。
中でも見事だったのが、この紫色のナマコ類です。
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。
オーシャンショット研究助成事業は日本財団の助成を受けて笹川平和財団海洋政策研究所によって実施されている。