2025年11月05日

逗子沖潜水生物調査

  • 期間:2025年 11月 5日(水)
  • 場所:逗子沖
  • 目的:潜水生物調査
  • 担当:西川・藤田

こんにちは、西川です。
私はたびたび海で潜水させてもらっていますが、フィールド調査報告を担当するのは久しぶりです。私が見てきた海の環境がしっかり伝わるといいなと思いながら書いていきます。
今回の潜水地は逗子沖、ここはこれまで潜水したことがない海域かつ水深 20~ 25m と深い場所のため(江の島での潜水は水深 10m 程度)、スキルのある藤田トリーターと向かいました。

今回の目的は展示効果の向上です。
“えのすい”では相模湾ゾーン 相模の海の水槽群エリアの海岸水槽で逗子沖サンゴの展示をしています。逗子沖で見られるサンゴのなかにはキサンゴの仲間も多く、その名の通り黄色い触手を持ちます。
逗子沖サンゴ水槽で暮らすキサンゴたちは自然のなかではどのように生活しているのか、それを確認するために会いに行きました。

逗子沖サンゴ水槽逗子沖サンゴ水槽

初めて潜水する場所のため、まずは漁場を管轄している漁協へ出向いて正式な許可をいただきます。漁協の方々はとてもやさしい方々で快く了承してくださったほか、車を停める場所まで私たちのやりやすいように手配してくださいました。

さて、いよいよ潜水です。
地元の漁師さんが船を出してくださり、潜水ポイントまで運んでくれました。到着したら船から海に飛び込みます。ボチャンと水中に入って初めに思ったことは「意外と視界が悪いな」です。この日は天気が不安定で時折雨も降っていたので、水中に入ってくる光が少なく、水面から見た下の景色はとても暗く見えました。

水中で下を見たときの景色水中で下を見たときの景色

水底にたどり着くと、まず目に入ったのはフトヤギ、そしてナシジイソギンチャクです。おお、でかい。と心のなかで思いました。
それとウツボ、コケウツボ、ニザダイ、イシダイ、ゴンズイ、カサゴ、コロダイ、クロホシイシモチ、アカオビハナダイ、キタマクラなどの魚類も確認できました。
江の島ではコケウツボやアカオビハナダイはあまり見られないので魚類相でも違いを感じられ、30~ 50㎝ のニザダイが大きな群れをつくって泳いでいることからはサイズの違いも感じました。あとはコケウツボが釣り用の鉛に寄り添うようにしていたのが印象的でした。

フトヤギフトヤギ

ナシジイソギンチャクナシジイソギンチャク

釣り用の鉛に寄り添うコケウツボ釣り用の鉛に寄り添うコケウツボ

そして見つけました、キサンゴの仲間 オオエダキサンゴです。
想像していたよりもぽつんとたたずんでいました。花火のようできれいですが、これでも大半の触手が縮んでいるときの姿です。完全に触手が開いたらもっと美しいです。よく見ると枝のすき間にミツボシクロスズメダイがすみ着いていました。

オオエダキサンゴオオエダキサンゴ

オオエダキサンゴにすみ着くミツボシクロスズメダイオオエダキサンゴにすみ着くミツボシクロスズメダイ

今回の潜水では、目的としていたキサンゴの観察ができたものの、想像よりも数が少ないことに驚きました。地元の漁師さんからも、キサンゴは以前より見かけることが減ったと聞き、環境が徐々に変化していることを実感しました。
今ある環境を守るために、地球規模の変化に対応していかなければならない。まずは私たちが潜水した情報を展示に反映して、多くの方に海の現状や変化を知ってもらわなければならない、と強い使命感を感じました。
これを読んでくれているみなさんと海を繋ぐために、これからも一歩ずつ歩んでいきます。
またフィールド調査で報告しますので、次回を楽しみに待っていてくれるとうれしいです。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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