2009年06月12日
トリーター:石川

フンボルトペンギン本来の巣


先日息子が社会科見学で下水処理場へ行ってきた際に、最後に処理された汚泥はセメントやレンガ、肥料などに再利用されるんだよって教えてくれました。
私たちの排泄物はこうやって身近なものへ再利用されていますが、野生のフンボルトペンギンの排泄物も本来はペンギンたちの生活になくてはならないものとして利用されていました。

フンボルトペンギンが棲んでいるところは、南アメリカのチリやペルーといった国々の太平洋側沿岸の乾燥した暖かい地域で、何千何万羽ものペンギンたちが生活し、そこで排泄しています。
もともとフンボルトペンギンは大地に穴を掘って巣をつくり育雛します。
そういった環境がない場合はサボテンや岩のくぼみを利用し巣とします。

本来フンボルトペンギンの生活していたところには、この排泄物や歴代のペンギンたちの屍が層となって巣穴を作るのに適した大地を自ら作り出していたのです。
ところがこの大地の土が大変肥料として優れていることに目をつけた人間は、この土をグアノと呼び、どんどん掘り出してほとんど取り去ってしまいました。
フンボルトペンギンは巣穴を掘るのに適した大地がなくなってしまい、代わりとなるサボテンの下や岩の隙間などで巣を代用することをよぎなくされてしまいました。
この繁殖地への大打撃に追い討ちをかけるように、乱獲、ペンギンの主食であるアンチョビーの乱獲、エルニーニョ現象などによって 18種類いるペンギンの中でもきわめて絶滅の危機にあるペンギンとなってしまったのです。
今ではこのグアノをとることも禁止され、地域もフンボルトペンギンも保護されています。

日本でも鶏糞はよい肥料となることが知られていますし、かつての田畑には肥やしをまいていました。

今年は“えのすいeco”を実践しています。
野生生物がすでに実践している自然のサイクルへ目を向けてみると、地球に優しい身近な“eco”が見えてくるかもしれませんね。

息子の小学校では、下水処理場の前にダムと浄水場見学が事前にあったそうです。
私達の水がどこから来て、使った水や汚水がどうなって海へ行くのか、大人は当たり前のように理解してしまっていますが、子供の目には新鮮であったようです。
このときの気持ちを素直に持ち続けられれば、自然な気持ちで“eco”が実践できるのかな。と思いました。

バックナンバー
[ ジョンはどこ?! ]
[ ペンギンは1日にどれくらい行動しているのか? ]
[ ペンギンのくしゃみ!? ]
[ おじいちゃん似の孫ペンギンたち ]
[ ペンギン記憶、私の記憶 ]

フンボルトペンギンフンボルトペンギン

ペンギン・アザラシ

RSS