2022年11月08日
トリーター:鷲見

サラワクイルカの胃内容物調査

先日、櫻木トリーターが「8月のイルカ救助活動について」というタイトルでフィールド調査の活動をご報告していましたが、先週、その救助し残念ながら死亡したサラワクイルカ(Lagenodelphis hosei )の胃内容物の調査をおこないました。
参加メンバーはフィールド調査班の櫻木トリーター、花上トリーター、鷲見、白形獣医、神奈川県立 生命の星・地球博物館の西村さんです。
相模湾の鯨類調査を私が本格的に始めて4年目にして、初めて出会った「サラワクイルカ」でした。そして、生態的にもまだまだ情報が少ない種類です。自然の生き物たちからしっかりと学んでいきたいと思います。

さて、今回の胃内容物調査は仕分け作業を実施しました。仕分け作業とは、というと、胃内容物を「魚類の肉片」「魚類の骨」「耳石」「甲殻類の胴体」「甲殻類の上下顎」「寄生虫」などに仕分ける作業です。

結構小さいものを探すので、地道な作業です。
これによって仕分けられたものを一つ一つ同定し、どのあたりに生息する生き物を食べていたのか、どこから来たのか、などを専門家の方と一緒に調べています。

さて、今回の調査はというと、「魚類の骨」「耳石」「イカの胴体」「寄生虫」「その他」に仕分けることができました。一番苦労したのは、たくさんの魚類の骨の中から、小さな耳石を探すことです。ちなみに、治療時に魚やイカを与えていたので、魚類の骨やイカの胴体が出ていたのは想定の範囲内でしたが、与えていない魚の種類の耳石が出てきていないかが気になるところです。

この地道な調査が、サラワクイルカがどこから来たのか、何を食べていたのか、などが分かる手掛かりになるかもしれません。
まだまだ始めたばかりの調査ですが、専門家の方々の知識をお借りしながら、相模湾に来遊する鯨類についての情報をこれからも積み重ねていき、相模湾に来遊する鯨類の知識を自信をもってみなさんにお伝えできるようになりたいです。

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