トリーター日誌にて 唐亀トリーターが述べている ように、私も思い起こせば旧・江の島水族館から新江ノ島水族館にかけて、さまざまな生物と接してきました。今回、私は少々、切り口を変えた感謝をみなさんにお伝えしたいと思います。
まず、紹介するのは私が好きな画像です。ハナゴンドウの「ヨン」とバンドウイルカの「パル」が 3歳ぐらいと思われる時の画像を紹介します。「パル」の顔や「ヨン」と並んでいるたたずまいがなんともいえず、良いかと思います。どうでしょうか?
2頭が並ぶ画像をただ単に私の好みで紹介したわけではなく、新江ノ島水族館での「鯨類飼育の礎」の象徴だと思い、みなさんに紹介しました。
まず、「ヨン」は1961年から42年間、旧・江の島水族館で生活をして長期飼育の礎を、そして「パル」は繁殖の礎であり、今もなお築き続けてくれています。
「ヨン」との一番の思い出は旧館時代までさかのぼります。旧館最後の頃は飼育員が少なく、8頭を 1人で担当するという日がありました。とにかく 1日中、走り回って世話をしていたのですが、「ヨン」と過ごす時間(給餌)はゆったりとした時間の流れとなり、忙しさから解放されて、私に癒やしを与えてくれました。
「パル」は繁殖に秀でた雄イルカであり、たくさんの子イルカを私に見せてくれました。そんな 2頭には感謝しかありません。
そして、「ヨン」や「パル」だけでなく、私と接してくれたイルカやアシカには飼育員としての礎を築く手助けをしてくれました。当然、感謝しかありません。
魚類の担当になってからは相模湾大水槽、その周囲にある各水槽、そして「シラス」を担当しました。今まで哺乳動物しか担当してこなかった私にとっては飼育員としての新たな経験をさせてくれました。そのなかでも世界初、そして唯一となる展示となるシラスの展示は閉ざしてはならないプレッシャーはありましたが、特に印象に残る展示でもあります。
シラスを展示として、みなさんに見てもらうためには展示とは別の場所での地道な作業が山のようにあります。餌となるワムシも途切れらせずに増やす、採卵した卵の確認、エアレーションや足す海水の微調整など、たくさんの作業が積み重なって、シラスを育てることができます。
シラスを担当することで多くのことを学びました。シラスへの感謝もありますが、シラスを展示する飼育の技術を確実にした先人のトリーターにも感謝です。
最後に、ここまで「礎」と称して、紹介した生物たちの長期飼育や繁殖はこれからも、まだまだ続きます。
えのすい20周年に関連するトリーター日誌を見ていただければ一目瞭然かと思いますが、ベテランのトリーターだけでなく、これからを担う若いトリーターにも受け継がれています。
みなさんには、ここまでの新江ノ島水族館のみならず、20周年以降にも注目していただければうれしいかぎりです!