みなさんこんにちは。 村井です。
シリヤケイカの赤ちゃんのお話 第2弾です。
この前は現在の赤ちゃんのようすをお伝えしたので、今回は産卵のお話をしようと思います。
シリヤケイカは真っ黒な卵を海藻に産み付けます。
1回の産卵で 200~300個の卵を産みます。
展示水槽内で産卵しているようすがこちらの映像です。
画面中央の奥にいる個体がメス、その周りでせわしなく動いている個体がオスです。
オスは他のオスにメスを横取りされないように周囲を警戒し、威嚇をしています。
動画のメスが枝に抱きつきます。
この時に腕の中に持っている卵を枝にくっつけています。
よく見るとメスが今卵を付けた枝の周囲にすでにたくさんの黒い卵がついているのがわかります。
シリヤケイカの卵は約1cm の黒い卵嚢(らんのう)の中に直径4mm の卵が1つ入っています。
卵は漏斗(ろうと)から産みます。
まず、漏斗から卵嚢のもととなる液体を出してそれを8本の腕で上手に受け止めます。
同時に卵も漏斗から腕の中に生み落とし、腕の中で受精させて上手に卵嚢で包みます。
卵が入った卵嚢が完成したら気に入った枝に卵嚢を産み付けて終了です。
観察していると、2分ほどかけて1つ卵嚢を産み付けていました。
産み付け終わるとほんの少し休憩してまた次の卵嚢を作り始めます。
漏斗から出す卵嚢のもととなる液体を8本の腕で上手に受け止めるようすが見てみたかったので、バックヤードで産卵していた時に水中カメラを使って産卵のようすを撮影してみました!
※画面が大きく揺れます。ご注意ください。
最初、漏斗の先端がちゃんと映っていますね。
そこから腕をくいっと曲げて漏斗の先端にぴったりとくっつけます。
漏斗の先端と腕の隙間をよく見てみると黒い液体が漏れ出てきているのが見えるでしょうか。
これが卵の卵嚢のもととなる液体です。
40秒ほどで漏斗を腕から外し、腕の中で卵嚢の形を整えます。
最後、少し周りを散策した後、腕を伸ばして枝にくっつけていますね。
この黒い液体がどうして水中で固まるのかはわかりませんが、どうやら海水に触れた所から少しずつ固くなっていくようです。
いくつかの卵嚢を観察のためにひらいてみたところ、卵嚢の外側は張りがあって硬いのですが、内側は粘り気のある液体でした。
しばらくその液体を海水中に放置してみた所、外側がだんだんかたまってくるようすも観察できました!
シリヤケイカは腕の中で卵嚢を海水に触れさせてきれいな形にしていたんですね!
観察してみて、腕を使って卵嚢を産み付けること、知識としてイカが漏斗から卵や卵嚢を出することは知っていましたが、実際にどうやって卵嚢を作っているのかわかりませんでしたが、それをはっきりと観察することができました!
まだまだ細かいところで気になることはたくさんありますが、ひとまず不思議に思っていたことが1つ解決して大満足です!
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2025年05月05日 シリヤケイカの赤ちゃん 1 ]