2025年05月23日
トリーター:村井

シリヤケイカの赤ちゃん 3

みなさんこんにちは。 シリヤケイカの赤ちゃんのお話 第3弾、これで最後です。
この前は現在の産卵のようすをお伝えしたので、今回は卵の成長のお話をしようと思います。

シリヤケイカの卵はこのような形をしています。

写真の左側が二股に分かれていますが、ここを枝に巻き付けてありました。
真っ黒ですね。
コウイカなどでは卵を隠すために砂をかるのですが、シリヤケイカは黒い卵を産み、砂はかけません。
その代わり、卵嚢(らんのう)を作るときに墨を混ぜ込むことで黒くしているのではないかと考えられています。

産卵から1日後の卵がこちらです。

細胞分裂が進んでいるのでしょうか。
細かい粒がたくさんあるのが観察できます。

産卵から7日経つとこんな感じになりました。

まだイカの形にはなっていませんが、だいぶ細胞分裂が進んできていそうですね。

産卵から 12日経過すると…

すでにイカの形ができていました!

こちらが下から見たときのようすです。

卵黄を抱え込むような形ですね。
腕をよく見ると吸盤のような小さなつぶつぶも観察できます。

この卵黄が動くようすも観察できました!



産卵から約1か月経過すると孵化(ふか)が始まりました!

もうおとなと変わらない形です!
この時の大きさは7mmです。

こちらが黒いときのようすです。
小さいながらも上手に色素胞を操っています!
※黒い斑点のように見えるものが色素胞です。イカはこの色素胞の大きさを変えることで体の色を変化させています。

去年繁殖したアオリイカの赤ちゃんと比べると色素胞の密度が高く、色鮮やかな赤ちゃんです!

こちらがアオリイカの赤ちゃんです。
大きさはシリヤケイカの赤ちゃんとだいたい同じ 10mmですが、頭の形や外套膜の(がいとうまく)のバランス、色素胞の密度が少しずつ違うので見た目の印象も随分変わりますね。

1cmに満たない大きさで生まれたシリヤケイカも、もうだいぶ大きくなり2~3cmまで成長しました!
体型も丸みを帯びてきて、Kトリーターに鈴カステラみたいだねと言われていました。
まん丸もちもちのシリヤケイカが見られるのは、赤ちゃんの今だけです!
現在「 えのすい生まれの生き物展 」で展示公開中(6月8日まで)ですので、たくさん餌を食べてすくすくと大きくなっているシリヤケイカにぜひ会いに来てくださいね。

バックナンバー
2025年05月05日 シリヤケイカの赤ちゃん1
2025年05月19日 シリヤケイカの赤ちゃん2

関連日誌
2025年02月23日 えのすい初のアオリイカ繁殖個体

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