みなさんこんにちは!
“えのすい” の大人気プログラム、「イルカと握手」。 みなさんはもうご体験されましたでしょうか? その名の通り、イルカと握手ができるなんともすてきなふれあいプログラムです。 私も何度か練習で握手をしたことがあるのですが、あの独特な感触がたまりません。
でも待ってください。「握手」って「手」を「握る」と書きますよね。
みなさんが使っているのはもちろん手でよいのですが、イルカがみなさんとつながっているのは「胸びれ」です。 手と胸びれ、これって握手が成立していないのでは? と思った鋭いあなたに、今回のトリーター日誌をお届けします。
先に結論から言ってしまうと、イルカの胸びれは私たちの手とほぼ同じ、厳密に言えば私たちの前肢にあたる器官なのです。
見た目からでは信じられないかもしれませんが、これを見ていただければ納得していただけるのではないでしょうか。
バンドウイルカの胸びれのレントゲン画像です。
レントゲン検査の概要等については 以前のトリーター日誌 で触れているので、今回は割愛。 人間の前肢のレントゲン画像についても、Go〇gleなどで検索していただければきれいなものが見られると思いますので、そちらにお譲りします。
上のレントゲン画像の黄矢印が橈骨(とうこつ)、青矢印が尺骨(しゃっこつ)、緑矢印が手首に相当する部分、赤矢印が5本の指に相当する部分です。 ヒトと比較しても、構成する要素がほとんど同じであることがわかります。
難しい言葉だと、ヒトの前肢とイルカの胸びれは「相同器官」と呼ばれ、その起源が同じものです。 指が発達してヒトが器用に道具を扱えるようになった一方、イルカは水中での生活に適応していく過程で前肢がひれ状になったと考えられています。 同じ前肢の相同器官にあたるものとしては、コウモリの翼などがあります。
イルカのからだで「ひれ」と名前が付くのは「胸びれ」「背びれ」「尾びれ」の3つがありますが、実はこの中で骨が入っているのは胸びれだけです。 レントゲン撮影をしても、背びれと尾びれの中に骨が見えることはありません。
実はこの「ひれ」についても、「収斂進化(しゅうれんしんか)」という生物学的に面白いお話があるのですが、長くなりそうなのでそれはまた別の機会に。
さあ、これでみなさんも握手をして、イルカの骨のある胸びれの感触を確かめてみたくなりましたよね? ただ、あまりに強く握りしめてしまうとイルカもびっくりしてしまうので、どうぞ優しくお願いします。
「イルカと握手」は有料のプログラムになります。え、言うのが遅い? きっとお値段以上の体験が、みなさんを待っているはずですよ。
関連日誌
[ 2024年12月06日 さかなのレントゲン ]