山本:第19回 NCB室蘭大会ー! こちらの日誌を覚えていただけていたらうれしいのですが、毎年クラゲ、サンゴ、イソギンチャク類を研究対象にした全国の研究者が集まる会(= NCB)がありまして、今年は渡部トリーター、霜鳥トリーターと共に北海道の室蘭市に行ってきました!
新千歳空港に着いた私たちは、道の駅で寄り道(鮭おにぎりが美味しかった…!)しつつ、レンタカーで室蘭まで向かいます。北海道の道って車で走っているだけで気持ちがいいですよね。そこそこ距離があったのに、あっという間に会場に着いてしまいました。
今回の NCBで情報交換会がおこなわれる「エンルムマリーナ室蘭」。ここで 2日間研究発表会がおこなわれます。
今回私は「夢のトワイライトゾーンでクラゲ採集! 相模湾の深海性クラゲたちと○○(※まだ内緒)について」というタイトルで発表してきました。最近えのすいでは株式会社FullDepthと一緒に水中ドローンを使って深海生物の調査をおこなっているのですが、今回はその時に見られたクラゲ類に着目してデータをまとめ、発表してきました! まだ中身は詳しく公開できませんが、いずれみなさまにも展示で紹介したいと考えています。
渡部:山本トリーター、長距離運転ありがとうございました!! 空港から会場まで、約100km! ちゃんと長距離です(笑) 。北海道だと距離感がわからなくなりますね。道中は、後輩にもかかわらず道の駅で買ったご当地スナックをもぐもぐ食べたり、後部座席で車窓を楽しんだりしていました。すみません (笑)。
NCBには全国の刺胞動物にかかわる水族館の飼育員や研究者が一同に集まっています。情報交換会では、これまでたくさんの方の発表を聞いて刺激をいただいてきたので、今回も発表準備は気合を入れてきました。内容は、以前日誌でもご紹介したバックヤードで飼育していたリュウキュウスガモから出てきた小さなクラゲについてです。あの日誌を書いた後、クラゲの成長記録をとることができ、さらに水槽内からポリプの獲得にも成功しました。さらに、黒潮生物研究所の戸篠祥さんに遺伝子解析をお願いし種同定することができました。また、沖縄の海草が関係しているクラゲなので、美ら海水族館の谷本都さんにもご協力いただき、研究発表としてまとめました。今、このクラゲの安定した育成に挑戦中なので、みなさんに一日でも早く展示を見ていただけるように頑張ります!
霜鳥:山本トリーターも渡部トリーターも、それぞれの成果をしっかり発表されていて、同じトリーターとして、良い刺激をもらいました! 4月にえのすいに来たばかりで発表できるようなネタもない私は、今回は自分の勉強のために参加させていただいたのですが、水族館の飼育スタッフも研究者も、それぞれの強みを生かした研究を積極的におこなっており、どの発表もとても興味深かったです。まだ公開されていないものもあるため、ここでは詳しくお伝えすることができないのですが、インパクトのある映像などもあり、会場は大盛り上がり! 研究に熱い思いを持った方たちとたくさん情報交換をさせていただき、私もこれからもっと勉強を重ねていかねば! と決意を新たにすることができました。
山本: 3日目はクラゲ採集です。プログラムの集合時間までに少し時間があったので、一足先に我々だけで別の港に行き採集… と思ったら、別の水族館の方々に出会いました。みんな思っていることは同じでしたね(笑)。この日採れたクラゲたちはこんな感じ。
野生のキタミズクラゲ! 初めて見ました! 肉厚!
無数のシロクラゲ。その気になればクラゲファンタジーホールの大型水槽をシロクラゲいっぱいにできるかも… なんて思いながら、常識的な数だけ採集しました。
他の水族館の方が採集していたキタノアカクラゲ(ニチリンヤナギクラゲ)。でかい! 傘径 30cmはありました。
霜鳥:普段江の島の海で毎日クラゲ採集をおこなっている私たちですが、江の島では見られない北海道ならではのクラゲにたくさん出会うことができ、終始大興奮でした! 採集したクラゲの一部はえのすいですでに展示しており、1か月以上たった今でも元気に過ごしてくれています。
そして最後に、今回の NCB室蘭大会の事務局である室蘭民報みんなの水族館を見学させていただきました! 少し前に SNSでも話題になっていた「紫色すぎるミズクラゲ」を見ることができました(※こちらの展示は7月29日現在終了しているそうです)。その色にはもちろんですが、大きさにもびっくり!
一緒に写っている渡部トリーターと比べてみてもこのサイズです!(笑)
渡部:テンション上がりました!! こんなに大きなミズクラゲの仲間がいるのかー! とみんな見惚れていました。もし海で見かけたら、腰を抜かしてしまうかもしれません。目の前の海で見られる生き物を展示しているというところは、えのすいとも共通している点ですが、見られる生き物が違っていてとても面白かったです。
山・渡・霜:まだまだ北海道の自然を楽しみたかったのですが、あっという間に空港へ向かう時間となってしまいました。今回の NCBでも新たな交流や研究の最新情報をいっぱい持ち帰ることができましたので、えのすいの今後のクラゲ展示に生かしていきたいと思います!
今回事務局を務めてくださった市立室蘭水族館のみなさま、本当にありがとうございました。そして NCB参加者のみなさま、今年も楽しい時間をありがとうございました。また来年お会いしましょう!