以前、大内トリーターの日誌(2025年01月15日 御成り)で紹介されていたイセエビを覚えていますか? 全長約 50㎝、体重約 1.8㎏のビッグサイズイセエビです。
以前は、相模の海の水槽群「海岸水槽」漁港(湘南港 藤沢市)で展示していましたが、3か月ほど前に相模湾大水槽「潮だまり(タイドプール)」へと引っ越しをしました。
大内トリーターの日誌でも紹介されていたように、イセエビは狭い所や暗がりを好みます。引っ越し先の「潮だまり」水槽では、大水槽とつながる擬岩の空洞が気に入ったのか、日中はその場所から一切出てこなくなってしまいました。
ちなみに大水槽でもずっと前からイセエビを展示していますが、こちらもほとんど見えません。運がよくても、レイアウトの石の隙間から触角がみえるくらい。
高級エビとして名高く、縁起物としても馴染み深いイセエビ。しかもなかなかお目にかかれないビッグサイズです。せっかくならお客さまから見えるところに出てきてほしいと思い、この数か月イセエビとの攻防戦を繰り広げていました。
写真の〇の部分が、イセエビが気に入って隠れ家としていた空洞です。
まずはここに他の水槽で使わなくなった擬岩を置いてみたり、石を重ねてみたりしました。が、空洞がそれなりに大きくぴったり隙間を埋めるのが難しい…。物は試しでやってみたものの、案の定、中途半端な隙間がイセエビにとっては格好の隠れ家となってしまったようで、その日のうちに同じ場所へ戻ってきてしまいました。
次に、プラスチック製のネットを円柱状にして空洞部分に押し込んでみました。これなら、空洞の大きさに合わせてネットを広げたり縮めたりできるので、隙間がほとんどできないはず。・・・と思いきや、数時間後には表から姿を消し、水槽内を探すとどうやって入ったのか、元の場所に戻っていました。
ネットの高さを調整したり、表から見える位置に岩を組んでみたりしても、器用に水槽内のさまざまな場所に隠れてしまいます。こちらが死角になる場所に細工をする → イセエビは新しい隠れ家を見つけて隠れる → さらに細工をする・・・という攻防戦を繰り返し、ようやく表から見える場所にイセエビが姿を現してくれるようになりました。なんと約2か月越しです。
イセエビは夜行性のため、活動的になる夜間にはこの場所から出ている姿を何度か見かけましたが、今のところ朝にはちゃんと同じ場所に戻ってきています。イセエビにとっても落ち着く場所になったようでうれしいです。
展示水槽は生き物をただ健康な状態で飼育するだけでなく、習性や生態をいかして生き物をみせるためにそれぞれの担当トリーターのこだわりやちょっとした工夫が詰まっています。少し見方を変えてみると、新しい発見があるかもしれません。
来場された際にはぜひ「潮だまり」水槽でイセエビを探してみてくださいね。(…きっと見える場所にいるはずです!)