2025年09月01日
トリーター:山本

ベニクラゲムシに光を

「へーーー虫なんだ!」…いいえ、クラゲの仲間です。「あ! これ不老不死のやつだ!」…それ、別のクラゲです。クラゲサイエンスでお客さまの反応を見ていると、勘違いされてしまっていることがよくあります。だって、ぱっと見クラゲの仲間とは思えないですよね…。

このクラゲはベニクラゲムシ。この9月で本種を展示し始めてから約2年が経ちました。実は、この時→(2023年10月03日 第17回 NCB高知大会)に高知で採集した個体がまだまだ元気にしています。2年となると、クラゲの中ではかなりの長生きです。最近個人的にこの「クラゲムシ」が熱いので、日誌で紹介させていただきます!

和名:ベニクラゲムシ
学名:Coeloplana willeyi
分類:有櫛動物門 有触手綱 クシヒラムシ目 クラゲムシ科

普通クラゲと聞くと「ふわふわ」漂うようなイメージを思い浮かべるかもしれませんが、このクラゲムシの仲間は漂わず岩などに「べちゃっ」とくっついています。有櫛動物門はカブトクラゲやウリクラゲなど「クシクラゲ」と呼ばれるクラゲたちが属するグループで、えのすいで展示しているクラゲの中では、特にコトクラゲが近い仲間です。構造的にもコトクラゲを上からグイっと押し付けたような感じで、同じようにくっつく触手もちゃんと持っているんですよ。

今年の4月に江の島で磯観察のイベントを開催した際、別のクラゲのポリプがついている石を持って帰り、クラゲ生産室で維持をしていました。1か月くらいたった時、水替えで石を掴んだ際になんだかぬるっとした感じがあり、びっくりしてよく見てみると…

べ、ベニクラゲムシがいる!!! たぶん江の島の磯から石を持ってきた時からすでにいたのでしょう…。全っっっ然気付きませんでした。毎日クラゲを見ている私の「クラゲめ(クラゲを探す目)」をかいくぐるとは。なかなかやりおる。ということで、現在クラゲサイエンスの展示では、元々2年前からいた高知産のベニクラゲムシ(橙色っぽい)と江の島産のベニクラゲムシ(赤色っぽい)が2匹ずつ同居しています。

ベニクラゲムシは体の縁あたりに白点が並ぶことが特徴で、顕微鏡で拡大するとよくわかります。私が適当に拾ってきた石にいたぐらいなので、恐らく探せば江の島の磯のそこら中にいるのでしょう。観察していると、ぬーーっと意外と素早く動き、自分の好きな(?)ところに移動します。そのようすがかわいくて、すっかり愛着がわいてしまいました。ぜひみなさまにも注目していただきたいです!

実は最近別のクラゲムシの仲間を入手し、展示するために現在いろいろと調べています。ここが特徴なのか!とか、こんな形の違いがあるのか!とか、うーん、クラゲムシの分類は難しい…。これまであまり触れてこなかった分、新しい発見がいっぱいです。いい機会と思ってしっかり勉強してみようと思います。

私のおすすめベニクラゲムシは、現在クラゲサイエンスで展示しています。ぜひご覧ください。

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