2025年12月07日
トリーター:渡部

「くらべてみよう サンゴとわたし」4:サンゴとクラゲ

みなさんこんにちは!
えのすい特別企画展「くらべてみよう サンゴとわたし」が始まって、半月ほど経ちました。すでに担当トリーターたちから、それぞれのおすすめポイントが挙がっていましたね。今回も、特別企画展にちなんでサンゴのお話をしていきます!

ところで、みなさんは「サンゴ」と聞くとどのようなイメージを思い浮かべますか?
沖縄など南の地域でみられる美しいサンゴ礁や、真っ赤な宝石を思い浮かべる方が多いと思います。木のような見た目をしているので、植物の仲間? と思う方もいるかもしれません。いずれにしても、硬そうなイメージがありますが、じつはクラゲと同じ刺胞動物門の仲間です。

サンゴに関する本や文献を読んでみると、プラヌラ、ポリプといったクラゲの生活史を説明するときに使う言葉がたくさん出てきます。さらに、サンゴを拡大してみてみると、基本的な構造はクラゲのポリプと似ています。

サンゴ(ナンヨウヤギ属の一種)のポリプの拡大図サンゴ(ナンヨウヤギ属の一種)のポリプの拡大図クラゲ(サカサクラゲ属の一種)のポリプの拡大図クラゲ(サカサクラゲ属の一種)のポリプの拡大図

刺胞動物門にはサンゴとイソギンチャク、クラゲ、内刺胞動物が含まれます。「刺胞」と呼ばれる毒の入ったカプセル状の細胞を持つという特徴が共通しています。ちなみに、内刺胞動物もユニークな一生を送るので、いつか紹介できればと思っています。

クラゲは、岩などにくっついて底生生活を送る時期と、海の中を浮遊生活をする時期があります。それに対してサンゴは、同じ場所で底生生活を送ります。中には、何十年、何百年もかけて少しずつ成長していく種もいます。2020年の調査で水深約 525m から見つかったツノサンゴ類 Leiopathes 属の群体の年齢は、なんと 7,000年と推定されました! 私はずっと同じ場所にいるのが苦手なので、そんなに長い間、同じ場所にいるなんて全く想像つきません! 7,000年の間に海でどんなことが起こっていたのか、聞いてみたいものです。
同じ刺胞動物でもふわふわと海を漂いながら新たな場所で命をつなぐクラゲと、生涯同じ場所でゆっくりゆっくり成長するサンゴの生き方は対照的です。

深海Ⅱ~しんかい2000~では、ツノサンゴ類 Leiopathes 属の実物大のシート(幅 4.4m ×高さ 3m )と映像を見ることができます。
同じ地球で生きる大先輩、7,000歳のツノサンゴとぜひ背比べしてみてくださいね!

<バックナンバー>
[「くらべてみよう サンゴとわたし」3:こどもと楽しむサンゴ]
[「くらべてみよう サンゴとわたし」2:お気に入りのモフモフイソギンチャク]
[「くらべてみよう サンゴとわたし」1:はじまりました!]

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