もう 1月が終わろうとしていることに驚きを隠せませんが、新年最初のトリーター日誌となりました、霜鳥です。
遅ればせながら、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
何人かのトリーターが日誌内で今年の抱負を語っていましたね。
私は、「生き物のくらしを想像しながら飼育する」ことを目標として、どうしたら生き物にとって居心地のよい飼育環境を作れるのか、生き生きとした姿をお客さまに見せられるのか、日々考えながら、勉強を重ねながら、仕事に取り組みたいな、なんて考えています。
そのひとつとして、最近育成に力を入れているクラゲをご紹介します。
1か月ほど前から展示を開始しているナンヨウミズクラゲ。
実は私が一番好きなクラゲでもあります。
基本的にはミズクラゲそっくりですが、このクラゲ最大の特徴といっても過言ではないのが、「生殖巣がハート型」になること。
先日の笠川トリーターの日誌でもミズクラゲの生殖巣の形を紹介していましたね。
ここでも触れられているとおり、展示開始時の個体の生殖巣は、正直まったくハート型にならず、普通のミズクラゲと同じように馬蹄(ばてい)型をしていました。
周りのトリーターにもちょいちょいツッコまれました…、すみません。
それ以外の特徴(縁弁の切れ込みの深さや口腕の形状など)は、ミズクラゲとの違いがはっきり見られていたのですけどね…。
最初に育てた個体とあって手探りなところもあり、まずはクラゲ自体をきれいな形に育てるのに意外と苦戦した、というのもありました。
傘が反り返ったような形になったり、口腕がびろーんと細長く伸びてしまったり…。
おとなのクラゲの見た目はミズクラゲとそっくりなのに、ポリプから育てると、やはりまったく違うクラゲなんだな、ということを実感します。
最近ようやくポリプの飼育のコツが分かってきて、毎日のように元気なエフィラが遊離してきています。
そして、育ったクラゲの生殖巣を見ると、一部ですがうっすらハート型になってきたものもあります。

よく見てみると、ハート型とまではいかずとも少しゆがんだような形の生殖巣を持っているものもいました。
今回の育て方に良い点があってそれが引き金になったのか、まだ要因ははっきりとは分かりませんが、クラゲ自体の形は確実にきれいに育てられるようになってきました。
実際にくらしている海はどんな環境なのか。そこで何を食べて、どれくらいの期間で成長するのか。
水温の変動は?塩分は?餌の内容や頻度は?水流の強さは?
そういったことを考えながら、少しずついろいろな条件を試しながら育てていきます。
ナンヨウミズクラゲの魅力を最大限引き出せるように。
ここからは少し余談ですが、私がナンヨウミズクラゲを好きになったきっかけのお話です。
学生の頃、何度か小笠原諸島を訪れることがあり、そこで初めてこのクラゲの存在を知りました。
当時はまだナンヨウミズクラゲという名前はついておらず、沖縄や小笠原のミズクラゲってちょっと普通のと違うよね~、くらいの認識でした。
ある日シュノーケリングをしていたとき、クラゲの群れに囲まれました。

ゆったりふわふわと漂う姿がきれいで、透明感があって美しくて、いつまでもそこで泳いでいたいような光景でした。
近くでよーく観察してみて、生殖巣のハート型もかわいくて大好きになりました。
そんな海で見て感動した風景を、水族館を通して多くの人にお伝えできたらなと思っています。
それはクラゲに限らず、また、他の多くのトリーターも思っていることだとは思うのですが、改めてその意識を高く持っていきたいなと感じました。