2026年02月25日
トリーター:藤田

「くらべてみよう サンゴとわたし」15:がんばれウミエラ

みなさんこんにちは。藤田です。
えのすいで現在開催中のえのすい特別企画展「くらべてみよう サンゴとわたし」、残す期間もあとわずかとなりました。
今回で特別企画展バージョン日誌の順番が回って来るのも 3周目となりまして、そろそろこれで最後かなぁと思うので、私が今一番アピールしたい生物をご紹介します。
(これまでの担当トリーターたちが書いてきた日誌とネタが被るところもありますが、どうかお許しください・・)

えのすいでは先月の休館日開けから「ヤナギウミエラ属の一種」(以下ウミエラ)の展示を始めました。
こちらのウミエラが、私が今一番アピールしたいサンゴの仲間です。

ヤナギウミエラ属の一種ヤナギウミエラ属の一種

ウミエラの分類や体のつくりについては以前樋口トリーターが日誌で紹介していましたね。ウミエラってサンゴの仲間なの? と思った方はぜひ見てみてください。

ウミエラがどんなふうに自力で砂に潜っていくのか、わかりやすい写真が撮れたのでお見せします。
まずこちらが砂から全身が出ている状態です。

ひらがなの「し」のように曲がっているところが柄部の柔らかい根元部分です。
この部分を砂の中に突き刺して、ゆっくりと体全体で潜っていきます。

この部分はぷにっとしていて柔らかく、繊細なウミエラの中でも特に大事な部位のようです。
骨軸の状態で観察してみても、生時と同じように曲がっていて、根元の先端の方は細くなっています。

ウミエラの骨軸ウミエラの骨軸

さらに顕微鏡で骨軸の観察をしてみると、骨軸の表面の溝の入り方が異なっているものがあることが分かりました。
水槽内に落ちていた骨軸の破片なので、もしかするとここには複数種のヤナギウミエラの仲間がいるのかもしれません。
ついでに骨軸の断面も観察してみましたが、はさみで切断しようとするとぱきっと縦に裂けてしまい、手で折ろうとするとぐいっと曲がってから折れるという柔軟性があり、意外な発見でした。

骨軸の表面と断面骨軸の表面と断面

このように柄部とポリプが並んだ羽のような葉状部をうまく使って、砂から出たり入ったりして動いています。
朝は倒れていたウミエラが夕方には起き上がっていた、なんてパターンも実際にあります。

まだ水槽内では、朝一はあまり砂から出ていなかったり、ポリプの開きがいまいちだったり、悔しいことにベストな状態をお見せできていないタイミングが多いです。
これまでにウミエラをメインにした水槽展示は誰もやったことがなく、飼育も手探り状態なのです。
照明の明るさを変えてみたり、餌の種類や量、あげるタイミングを調整したり、現在いろいろと試行錯誤中です。。。
自然界でも水中の透明度が高い時のコンディションより、やや濁った薄暗い海況の方が満開のウミエラを観察できることがあるようです。
ポリプを開き、水流に乗って流れてくるプランクトンなどをキャッチして食べているので、懸濁物(けんだくぶつ)が多い日の方がごはんモードになるのかなと思っています。

ふわふわと水の流れになびく満開に開いたウミエラは本当にきれいです。ぜひ、水槽前でかがんで目線を低くして観察してみてください。ウミエラ畑でたゆたう魚たちの気持ちになれるかもしれません。
私は引き続き、ウミエラをより良い状態でご覧いただけるよう頑張ります。

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