この日は産卵巣の調査をしました。 18匹しか出てこなかったのだから、他の多くの卵は浸水したり、何らかの原因で発生が途中で止まってしまったのかも知れないと予測していました。
産卵巣の中を調べてみると、結局卵は 30個ほどしかなかったことがわかりました。
仮に 30個のうち 18個がふ化したとなると、ふ化率は 60%です。自然の浜のふ化率として、60%は良いとはいえませんが、この海岸の環境や条件を考え合わせるとそれほど悪い数字ではありません。
子ガメたちは今どの辺を泳いでいるのだろうか、海流にはうまくのれたかなと、子ガメの長い長い旅に思いをはせながら、私は心からほっとし、さわやかな気持ちになりました。
さいごに
湘南の海岸は古くからアカウミガメの産卵が確認されていますが、浜のすぐ近くを道路が走り、明るくて人も多く、ウミガメにとって理想的な砂浜とはけっしていえない状況です。
そんな中でも今回、無事に卵がふ化し、子ガメが海へ出ることができたのは多くの人々の努力による結果だと思います。
いつか湘南地域一帯の浜にウミガメが毎年、数えきれないくらい産卵に訪れ、ウミガメの産卵なんてここら辺じゃめずらしいことじゃないよ、といえる日がくることを願っています。
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逗子海岸アカウミガメ産卵(1)
逗子海岸アカウミガメ産卵(2)
浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら
どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。
打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。
浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。
どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。