2021年03月11日

駿河湾底曳網採集

  • 期間:2021年3月11日(木)
  • 場所:駿河湾
  • 目的:メンダコをはじめとする深海生物の採集
  • 担当:藤田


みなさんこんにちは!
駿河湾で底曳網漁漁船に乗船して、深海生物の採集をおこなってきましたので報告いたします。

毎年寒い時期になると、沼津の漁師さんの底曳網漁漁船に乗せていただいて、メンダコなどを狙った深海生物採集をしています。
今年度最初の底曳網採集は 1月下旬から予定にはあったのですが、あいにくの天候で延期が続き、3月になって初めて乗船することができました!
寒い時期の海は荒れやすく、予定通り出航できることの方が少ないようです。
底曳網採集の予定が近づくと採集道具の準備などを始めるのですが、それを見た他のトリーターから「もうそんな時期か~」といった声があがります。
いわば“えのすい”の冬の風物詩となっています。
だんだんと気温も暖かくなってきており、この回が今年度最後の底曳網採集でした。

ひんやりとした空気の中、朝の 5時、出航です。
そして 5時半頃、日が昇ったらいよいよ底曳網漁の開始です。


ロープが勢いよく巻き上げられていきます。


巻き上げたロープを漁師さんたちがまるでモンブランのように積み重ねていきます。
ロープを触ると危険なので、船首側には立ち入りません。
周りの動きに注意しながら網が揚がるまでしばらく待機です。


ロープの先につながった網を引き揚げます。
網の中にはどんな生物が入っているのか、メンダコはいるのか、ドキドキしながら待ちます。


網が揚がってきました!
入網したのはユメカサゴやキホウボウ、ヒメコダイなど赤い色が特徴的な魚が多いですね。
また、アカザエビやサクラエビも入っています。


あ!メンダコがいました!!
上の写真の黄色のグローブですくっている赤いブヨブヨとしたスライムのような生物がメンダコです!


こちらが採集直後のメンダコです。
メンダコは光にとても弱いので、すぐに遮光用の容器に入れて船上の水槽に移します。
普段はエビの棘が刺さったり、他の魚に押しつぶされたりして傷ついてしまうことが多いそうですが、今回はかなり綺麗な状態で入ってきました。
メンダコについては杉村トリーターの日誌、[2021/03/13 メンダコチャレンジ2021 その1]の方にも詳しく書いてありますのでぜひ見てみてください。

その後も少しずつ場所や水深を変えながら、数回網を曳きました。
今回入網したメンダコは14個体!
かなり良い成果だったと思います。
その他にもオカダシンカイコシオリエビ、クボエビ、キホウボウ、ワヌケフウリュウウオなど 約 50種の生物を採集することができました。
そして 14時過ぎに帰港し、およそ 9時間の漁が終わりました。
ですが、底曳網採集は下船してからもまだ作業が続きます!
採集した生物たちを水族館まで持ち帰り、生かして展示につなげることが目的なのです。
生物のカウント、荷物の積み込み、水族館への搬入まで終わって、ようやく底曳網採集の終了です。

そして現在、搬入したメンダコは、深海Ⅰにて展示しています。

餌を食べるようすも確認されていて、状態も良いように見えます。
こちらは八巻トリーターの日誌[2021/03/19 メンダコチャレンジ2021 その2]に詳しく書いてありますので、見てみてくださいね。

今回私は初めての底曳網漁乗船で、実際に深海からどんな生物があがってくるのか体感し、面白い生き物に出会うことができました。
これからその生物たちをしっかりと飼育し、みなさんにも見ていただけたらなと思います。

新着生物
メンダコの生態解明への挑戦!お耳が生えた深海のアイドル「メンダコ」

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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