2025年07月02日

D-ARK 航海 2025(1)
出航と回航

  • 期間:2025年 7月 2日(水)〜 8月3日(日)
  • 場所:九州・パラオ海嶺、大東島周辺海域
  • 目的:深海石灰岩洞窟における遺存種の把握とその分類学的研究
  • 担当:八巻


みなさんこんにちは! 八巻です。夏を感じられる青空になってきましたね。
7月 1日、私は JAMSTEC 横須賀本部から海底広域研究船「かいめい」に乗船しました。
いよいよ今年度の D-ARK 航海が始まります!

海底広域研究船「かいめい」海底広域研究船「かいめい」

今回は 7月 1日から 8月初旬までの約 1か月間という長丁場の調査航海となる予定です。

改めて D-ARK:Deep-sea Archaic Refugia in Karst とは、本格的な調査がいまだ実施されていない「深海洞窟」にすむ生物相を明らかにするという、当館もキーメンバーとして関わっている深海洞窟探査プロジェクトです。
陸域や浅海の洞窟ではいわゆる「生きた化石」がひっそりと生活していることも知られていますから、深海の洞窟でもきっと驚くべき発見が待っているはずです!
3か年計画で今年が 2年目、実際去年の調査の成果として、現在論文として公表されているものだけでも新種のゴカイ類、ヒモムシ類に加え、日本初記録の魚類を確認しています。
詳しくはぜひD-ARKのホームページや、私の去年のフィールド調査をチェックしてみてくださいね!

去年は Mini-ROV こと小型の水中ロボットと、水中内視鏡こと小型カメラを使って洞窟の入口や岩の窪みの調査をおこないました。
今年はこれらの調査機器が新型機となってパワーアップ! 早速洞窟の内部の調査に投入されます。
この新型機たちは昨年12月から今年 4月までおこなっていた「えのすいの深海展」内で名称募集をおこない、それぞれ「 DroSea(ドロシー)」と「 Xscope(カイスコープ)」という素敵な新名称をいただきました!
「 DroSea 」と「 Xscope 」は登場次第、その活躍をご紹介しますのでこうご期待!

なお、今年も昨年同様、本航海では D-ARKプロジェクトに加えて、九州・パラオ海嶺の生物相調査もおこなう予定で、今回のターゲットは高知県の先端からおおよそ350m南下した海域に位置する駒橋第二海山です。

さて、船は JAMSTEC横須賀本部の方々に見送られて無事出航!

JAMSTEC 横須賀本部からの出航JAMSTEC 横須賀本部からの出航

航海最初の 2日間は回航(目的地までの航行)です。その間は研究者の顔合わせ、調査の準備や安全祈願、操練(船の非常事態に備えた訓練)などをおこないました。

非常事態のための操練非常事態のための操練

安全祈願の金比羅参拝安全祈願の金比羅参拝

研究者の方々はラボに顕微鏡を立ち上げたり、調査機器の準備をしたりします。

準備中のラボ準備中のラボ

調査機器の準備調査機器の準備

私は冷蔵室付きコンテナを飼育室として使わせていただき、水槽の立ち上げなどの準備を行いました。
また、今年は釣獲調査で釣れた魚を飼育するための大型クーラーボックスも持ってきていて、冷海水をこのクーラーボックスへ引き、かけ流しができるような細工をおこないました!
「かいめい」ではウェットラボの蛇口をひねると冷海水が出るようになっていて、この冷海水は常にかけ流しをしています。今回はそのかけ流し先をクーラーボックスにしてみました。

準備中の飼育コンテナ内準備中の飼育コンテナ内

低温室に立ち上げた水槽低温室に立ち上げた水槽

冷海水かけ流しのクーラーボックス冷海水かけ流しのクーラーボックス

準備万端ですが、海の調査は予定通りいかないことがよくあります。
今回も当初の予定では D-ARKプロジェクトの大東島周辺海域の調査からスタートするはずでしたが、台風接近のため予定を変更して、九州・パラオ海嶺の生物相調査からおこなうことになりました。

とはいえ、調査の開始日は変わらずあしたからです!
あしたはいよいよ初潜航!
楽しみですね。


本プロジェクトは、日本財団の支援を受けて笹川平和財団海洋政策研究所が実施する「オーシャンショット研究助成事業」により助成を受けたものである。
オーシャンショット研究助成事業は日本財団の助成を受けて笹川平和財団海洋政策研究所によって実施されている。

・JAMSTEC(国立研究開発法人 海洋研究開発機構)KM25-06「かいめい」/「KM-ROV」 D-ARK 航海
・新江ノ島水族館は、JAMSTECと深海生物の長期飼育技術の開発に関する共同研究をおこなっています。

浜で打ち上がっている野生動物をみつけたら

触ってもいいの?

どんな病気を持っているかわからないので、触らないようにしてください。

“えのすい”はなにをするの?

打ち上がった動物の種類や大きさ、性別などを調査しています。
さらに、種類によっては博物館や大学などと協力して、どんな病気を持っているのか、胃の中身を調べ何を食べていたのか、などの情報を集める研究をしています。

生きたまま打ち上がった生き物はどうなるの?

浜から沖の方へ戻したり、船で沖へ運んで放流するなど、自然にかえすことを第一優先にしています。

水族館で救護することはあるの?

どんな病気を持っているのかわからないので、隔離できる場所がある場合は救護することがあります。しかし、隔離する場所がない場合、さらに弱っていてそのまま野生にかえせないと判断した場合は、他の水族館や博物館と連携して救護することもあります。

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