カワハギ(Stephanolepis cirrhifer)は、冬に備えてエネルギーを蓄えるために、餌をたくさん食べて肝臓を肥大させていく、秋が旬の魚です。
カワハギは北海道から九州まで、日本各地の沿岸に広く分布しています。
岩礁や藻場周りの砂地などで生息して、丈夫な歯を持ち、小型の甲殻類やゴカイの仲間、貝類などを食べて、最大 35cmくらいにまで成長します。
ざらざらした手触りの硬い皮膚で覆われていますが、切れ目を入れると手でビリビリ簡単に皮を剥ぐことができることから、カワハギという名前が付けられたといわれています。
淡白で弾力があるカワハギの刺身は、濃厚な味の肝であえて食べると絶品なので、肝が大きいほど重宝されて値段が上がります。
刺身以外には、煮ても焼いて美味しい魚ですが、弾力があるさっぱりした身なので、から揚げにして食べるのもおすすめです。
釣り人には、“餌泥棒”と異名を付けられているカワハギは、ホバーリングをしながら、強烈な吸引力で針先の餌を吸い出して食べてしまいます。
竿にあたりを感じずに、いつの間にか餌をかすめ取られてしまうので、釣ることがたいへん難しい魚です。
餌や仕掛けの工夫や、あたりの取り方など、釣り人の腕が試されるのがカワハギ釣りで、食べておいしく、大型になると強烈な引きを楽しめることから、秋になると専門の釣り船が大挙して出船するほど人気があります。
新江ノ島水族館では、相模湾大水槽で飼育しているカワハギは、ダイビングショー「フィンズ」に欠かすことができない魚です。
フィンズでは、ショーの終盤で、カワハギが餌を食べるようすを観察するほか、水中でカワハギが餌を食べる時に出す音を拾ってお聞かせしています。
カワハギたちの調子がよいと、勢いがあるかなり大きな音を出してくれます。
餌の食べ方をよく観察できますので、カワハギ釣りのヒントが得られると思います。
これからの季節、カワハギ釣りの研究にもぜひご利用ください。