先月は、九州で“アラ”と呼ばれている“クエ”を紹介しましたが、今月紹介するのは、標準和名 アラ(Niphon spinosus)です。
青森県以南の太平洋、日本海沿岸の水深 100~ 400mの岩礁域に生息して、体長は
100cmくらいにまで成長します。
スズキ目ハタ科アラ属に分類されているアラは、体型がスズキに似ていることから、スズキ科に分類されていた時期があったり、超高級魚として広く知られているクエの偽物扱いされたり、ポテンシャルの高さにしては、つかみどころがなくて、ちょっと残念な魚といえるかも知れません。
大型なハタの仲間で、そのおいしさは折り紙つき。
刺身、焼き物、煮つけに鍋料理、上品でうまみの詰まった身や出し汁のおいしさは、どんな調理にしても絶品で、ポテンシャルの高さをいかんなく発揮してくれます。
相模湾では、沖合の大陸棚周辺を狙う深場釣りで漁獲されていて、ほとんどは深海から一気に水面まで釣り上げられた圧力の差で、浮き袋や眼などが膨れ上がってしまいます。
先月実施された深海サメ釣り採集では、大型のアラが釣り上げられたのですが、残念ながら膨れてしまい、生かして持ち帰ることはできませんでした。
その後クーラーボックスに入れられたアラ。
おいしさを知るえのすいトリーターによる、争奪戦になったことはいうまでもありません。
なんとかさばき終えた後に出たあらの一部を分けてもらったので、カマの部分は塩焼きに、肋骨周りの部分は煮つけにして食べてみました。