花の香りが漂う夜。
花が散ったあとのオレンジロード。
今年はちょっと遅めでしたが、キンモクセイの花から秋の深まりを感じる今月は、ウマヅラハギ(Thamnaconus modestus )
を紹介します。
馬のように面長な顔つきをしていることから、ウマヅラハギと呼ばれるようになったといわれています。
カワハギの仲間なので、ぱっと見た感じはよく似ていますが、横から見るとラグビーボールのような体型に、斜めに入った大き目の斑紋と、名前の由来となった長い顔を見比べることで、カワハギとすぐに見分けがつきます。
ウマヅラハギは、日本近海では北海道より南の岩礁周りに生息して、40cmくらいの大きさまで成長します。
ざらざらした硬い皮をペリペリ剥がしてさばくのは、カワハギと同じです。
薄く切って並べた刺身の“薄造り”は、フグにも負けない味わいと食感で、旨みの詰まった肝と合わせて食べるのは最高です。
水たきなどの鍋料理や、焼き物、から揚げなどと合わせたフルコースは、日本各地で郷土料理として親しまれています。
相模湾では主に定置網で漁獲されていますが、カワハギの代用的な扱いをされてしまうことが多いようで、カワハギ釣りやいろいろな魚を狙う五目釣りでも、餌取りの厄介者扱いされてしまうのは、たいへんもったいないところです。
冬に向けた栄養を蓄えて、肝が大きくおいしくなるこの季節は、主役としてウマヅラハギにスポットライトを当てていただければと思います。
“えのすい”では相模湾大水槽の浅瀬側で展示しています。
カワハギもいっしょに展示していますので、二種の違いを見比べてみてください。
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