2020年08月01日
トリーター:岩崎

相模湾旬の魚図鑑 3rd season その7 イシガキダイ

梅雨明けは待ちきれず、セミたちの鳴き声がにぎやかになってきました。
今月紹介するのは、先月の“磯の王者”イシダイに続いて、近縁種のイシガキダイ(Oplegnathus punctatus)です。

イシガキダイは南日本沿岸の岩礁周りに生息している魚で、石垣を組んだような黒い斑紋が特徴で、80cm以上にまで成長します。
イシダイと同じように、鳥のくちばしのような形に細かい歯が重なり合った、硬くて頑丈な歯で、巻貝やウニ、甲殻類などの硬い殻を砕いて食べてしまいます。
雄は老成すると特徴的な石垣模様が薄れて、口の周りが白くなってくることから、クチジロと呼ばれることもあります。

イシダイ同様に、お刺身や塩焼きなどでおいしくいただけるのですが、地域によっては、食べ物由来のシガテラ毒を蓄えた個体がいることが知られていますので、注意が必要です。
致命的ではありませんが、触覚に関わる神経に後遺症が残りやすい毒なので、南方系で大型のものは、食べない方が無難です。

イシダイとかなり近縁の魚で、姿形だけではなく、習性もよく似ています。
この2種類はとても賢い魚で、いろいろなことを覚えて、水族館ではショーにも参加してくれます。


“えのすい”では、ダイビングショー「うおゴコロ」に、「モノドン」と名前を付けたイシガキダイが参加しています。
ダイバーといっしょにダンスを踊るように回転してくれるイシガキダイの「モノドン」。
相模湾大水槽でご覧ください。

仲良しの魚が食べられてしまったら?と考えると、かなり複雑な心境になります。
食べないと生きてはいけないのが生命で、たくさんの命に支えられているから命は大切で、自分や周りの命に感謝して過ごさなければいけないな。
「うおゴコロ」の魚たちと向き合う度に、哲学的な気持ちになるのでした。

バックナンバー
2020/06/29 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その6 イシダイ
2020/05/30 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その5 カタクチイワシ
2020/04/30 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その4 カンパチ
2020/03/30 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その3 チダイ
2020/02/29 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その2 ワカメ
2020/01/29 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その1 ヒラメ

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