えのすい特別企画展「くらべてみよう サンゴとわたし」 えのすい特別企画展日誌も 11回目となりました。企画展担当者で繋いでいるこの日誌ですが、ここまで来るとネタが被らないようにするにはなかなか大変になってきました。私自身もこの期間中にカラスザメやイタチザメ、アカシュモクザメと大好きなサメのいろいろな出来事がありましたが、そこはぐっと堪えてサンゴネタに集中です。前回の西川トリーターは相模湾キッズ水槽のイソギンチャクについて話をしてくれています。そうしたら元祖イソギンチャク水槽(?)の担当も黙っているわけにはいきません。
今回の企画展ではクローズアップはされていませんが、太平洋の展示では相模湾に生息していないイソギンチャクたちが暮らしています。主に沖縄など暖かい海に分布しているイボハタゴイソギンチャクやアラビアハタゴイソギンチャクです。
アラビアハタゴイソギンチャクはえのすいにやってきたころはバレーボールサイズでしたが、かれこれ 5年が経ち座布団サイズに成長しました(一緒に写っているカクレクマノミと比較してサイズ感が伝わることを願います)。
えのすいに来た頃のアラビアハタゴイソギンチャク(5年前)
アラビアハタゴイソギンチャク(現在)タイトルに「サンゴの利用」と書きましたが、みなさんもご存じ、クマノミとイソギンチャクの共生の話は有名です。渡部トリーターの日誌で紹介がありましたが、イソギンチャクの仲間は刺胞動物門に含まれ、刺胞という毒針を持っています。クマノミたちは特殊な粘液を分泌することで刺胞から身を守っており、そうでない魚はイソギンチャクの刺胞にやられてしまうため近寄れないという防御方法です。イソギンチャクは攻撃してくれる砦(とりで)の役割を果たします。これを利用するのはクマノミだけではなく、水槽ではアカホシカニダマシもイソギンチャクの中に隠れています。イソギンチャクだけでなく、サンゴは魚たちの隠れ家としても有用です。
アカホシカニダマシとイボハタゴイソギンチャク例えばエダミドリイシなど枝状のサンゴの隙間は入り組んでおり、この中に隠れることで外敵から身を守ることができます。我々も水槽の展示替えで魚を移動させるために捕まえることがありますが、サンゴの隙間に入って、見事に網から逃げ切ります。夜寝るときにも隙間に入り、サンゴに身を寄せるのです。魚たちにとっては住処としてもサンゴは大切な存在です。ただ、そんなサンゴを餌として利用する魚たちもいます。例えばチョウチョウウオの仲間です。細長い小さな口でサンゴのポリプをついばんで食べてしまいます。中にはサンゴのポリプしか食べない種もいて、水族館での展示難易度は一気に上がります。そのため水族館で飼育されているチョウチョウウオの仲間はポリプ以外にもプランクトンなど別の餌を食べてくれる種が多くなります。サンゴと一緒に展示する場合には種の組み合わせも気を付けなくてはなりません。
ここまでの話でサンゴは魚にとっても大切な存在だということが伝わったのではないのでしょうか?
サンゴ礁にはさまざまな魚が集まります。ということは、その魚を狙ってさらに大きな魚が集まってきます。もちろん高次捕食者のサメも集まってきます。
えのすいにはサンゴ礁に暮らすサメもいます。マモンツキテンジクザメはサンゴの上を歩くように移動し、サンゴトラザメは名前に「サンゴ」が入っています。ツマグロやバックヤードにいるネムリブカは、小回りを効かせてサンゴの合間を縫って獲物を捕らえます。サメたちにとってもサンゴは大切な存在なのです。
サンゴトラザメサンゴの話に無理矢理サメの話も入れ込んでしまいましたが、太平洋の展示にもサンゴに関する生き物たちが沢山いますので、こちらもお見逃しなく!