2009年05月08日
トリーター:伊藤

泥の海を訪ねて( 8)


マングローブの主役は植物?

私事から恐縮ですが、少し前に引越しをして、家で魚を飼育することができなくなってしまいました(水族館にたくさんいるんだから、家でまで飼わなくても・・・ という意見も)。
そこで植物熱が再燃。植木鉢なら出窓や台所の片隅に置いて愛でることができますからね。

我が家に根を下ろす植物は大きく 2つに大別されます。
1つは南国の植物、もう 1つは食虫植物です。
どちらも植物離れした形と旺盛な生長で楽しませてくれます(家族はきれいなお花がいいとぼやいています)。
そんなわけで、水族館で好きな植物を展示できる機会をうかがっていました。

カトプシス・ベルテロニアナ

食虫植物の中でもかなりマイナーな北米産パイナップルの仲間です。
ごわごわとした根っこで他の樹木に着生する変り種。
高地から海辺まで広く分布しますが、マングローブの樹上にも見られるとの情報を得たので、今回は特別にご登場頂きました。

野生の状態を見たことがないので何ともいえませんが、重なり合った葉の中央にできた穴に水をため、落ちてきた虫をおぼれさせて栄養にするとされます。
有名なウツボカズラやサラセニアと原理は似ていますね。
何も知らずに見ると、「なんだパイナップルのヘタか?」と思うのですが、これで食虫植物、着生植物だと聞けば、あら不思議、何ともいえぬ魅力を放ってくるではありませんか?

今回はその他にもマニアックなマングローブを集めてみました。
塩分に強い、水切れに弱い(観葉植物としては世話が大変)といった共通点があります。
もっとも有名なヒルギの仲間は種(胎生種子)での登場です。生長した雰囲気は常設のマングローブ水槽をご覧ください。
種が水に浮き、海流に乗って運ばれるもの、有毒なもの(魚に食べられないため?)も多いです。
動きの少ない植物ですが、彼らは確かに生きていて、今も干潟・マングローブを豊かにし、守り育てる影の立役者なのです。

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