2024年02月09日
トリーター:園山

福がいっぱい!? フグの話11

きょう、2月 9日は何の日でしょうか。
肉(29)の日などもあるようですが、一般的に広く認知されている(はず!)のは「ふくの日」ですね!
もちろん「ふく」とはフグのことです。このあたりは一般常識テストで出てきます(おそらく)。

フグという名前が載っている書物としては、古いものでは平安時代の薬名辞典「本草和妙(ほんぞうわみょう)」に「布久」とあり、これがフグとされています。諸説ありますが、腹部が膨れるのでフク(フグ)と呼ばれるようになったといわれています。
西日本、特に下関ではフグと濁らずに「ふく」と呼ばれています。実際、卸業者さんや漁師さんがやり取りされるときにはフグといわれますが、フグは「不遇」「不具」に繋がること、「ふく」は縁起を担いで「福」に繋がるということから、幸福につながる魚とされ、下関のお店で見かけるものは「ふく」と表記されていることがほとんどです。

ということで、みなさんにも幸福が訪れますように、今回のトリーター日誌は現在“えのすい”で展示しているフク(フグ科魚類)をいくつか紹介します。

キタマクラ
先ほどまでふく(福)といっていましたが、それとは真逆な、不吉な種名が付いています。厚生労働省のフグの衛生確保についてのなかで、「処理等により人の健康を損なうおそれがないと認められるフグの種類及び部位」によると、キタマクラはいずれの部位も食用にできません。しかし、皮には強い毒がありますが、筋肉は無毒とされています。当館の相模湾ゾーン 出会いの海では雄のキタマクラが毒々しい青い色をしていますが、キタマクラとはちょっといい過ぎな種名かもしれませんね。

クサフグ
江の島でも産卵を見ることができるフグです。こちらは何度かトリーター日誌で紹介しています。相模湾ゾーン 出会いの海で荒波にもまれている姿が、躍動感があっていい感じです。いつか水槽内でも産卵させてみたい種の一つです。展示水槽で産卵できなくても、人工授精などで卵から育成し、水槽の中を繁殖したクサフグでいっぱいにしたいですね。

ショウサイフグ
相模湾大水槽の底の方をうろうろしています。クサフグの 2倍くらいの大きさがありますが、底の方にいるせいか、意識していないと目に入りません。このショウサイフグに気づけた方はなかなかの大水槽通です。関東で釣りをされる方なら、東京湾でのショウサイフグ釣りは有名ですね。トラフグやクサフグとは違い、体表に棘がないのが特徴で、食用のフグの種判別をする際に、触って確かめる場合もあります。

いつになるか分かりませんが、「ふくの日」に“えのすい”でフグの企画展示できればいいなと妄想しながら、日々フグに関する展示資料(骨格標本や皮など)をこつこつと作成中です。日の目を見るのはいつになるかな。。。



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2023/10/17 福がいっぱい!? フグの話7
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