2007年11月25日
トリーター:北田

[深海生物小説 10] 一人前のタカアシガニ

僕は世界で一番大きくなるタカアシガニです。
僕がはさみを広げればみんなが歓声をあげ、僕が何もしなくてもみんなは「大きい」といってじっと見てくれます。
僕と記念写真を撮る人もたくさんいます。
僕の背中に乗せている小さな動物をじっと見る人もいます。

僕は世界で一番大きいタカアシガニです。
しかし、僕はまだ子どもです。
僕では「大きい」といってもらえません。
他のタカアシガニのように存在だけで驚かせたいです。
早く一人前になりたいです。
頭のトゲが小さくなる頃には僕はどのくらい大きくなっているのでしょう。

早く一人前になりたいです。

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