2009年05月26日
トリーター:伊藤

泥の海を訪ねて( 10)


人知れず成長中

今回はテーマ水槽とリンクした常設展示のお話をします。
暖かい海コーナーの一角に位置するマングローブ水槽。お花畑のようなサンゴ水槽や立派なツマグロが泳ぐサメ水槽のちょっと手前にある小さな水槽です。
この水槽には、神奈川県より南のマングローブや干潟に生息する生物をチョイスして展示しています。
ちょっと詳しい人が見れば分かるので白状しますが、相模湾大水槽ばりに「弱肉強食」な水槽になることがあります。
同居生物は厳選してなるべくケンカや捕食がおこなわれないように配慮してはいるのですが・・・。
その悩みの種となっているのが、

ジャノメハゼ&ヤエヤマノコギリハゼ

たちでしょうか。
いずれの魚も肉食性のハンターで、ノコギリガザミがバックヤードに移ってからは、カニたちとともに水槽内生態系の最上位にいます。

見ていると結構食べ物に好き嫌い?があり、その気になれば食べられそうなコボラやオウギガニは襲わないのに、逃げ足の速そうなスジエビやサツキハゼはしつこくつけ狙い食べてしまうのでした。
もちろん、飼育係が普段与えている餌もエビやサバなどの生き物なわけですが、こちらが餌として想定していないのに食べられてしまうと、やはり複雑な気持ちになります。
しかしその甲斐あってか、両種ともたっぷりと肥えて見ごたえのある姿になっています。
ジャノメはエンピツのような幼魚が 1年で 2まわり以上になっていますし、ヤエヤマはハゼマニアにはたまらないフルサイズになり、ギラギラと赤いひれが成熟を示しています。
小さな水槽で個別に飼育した場合より、のびのびとたくさん食べて育ったおかげでしょうか。

今回、テーマ水槽はもちろんですが、本家常設展示の干潟水槽とマングローブ水槽も担当者と協力して「奇妙な面々」を追加展示するようにしています。
いつもよりちょっと増強したこれら常設展示の方もぜひご覧ください。

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太平洋

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