2020年09月01日
トリーター:岩崎

相模湾旬の魚図鑑 3rd season その8 ナガレメイタガレイ

朝晩の風が涼しく感じるようになってきました。
虫の音が草陰から鳴り響く秋のはじめに紹介するのは、ナガレメイタガレイ(Pleuronichthys japonicus)です。

ナガレメイタガレイは、東北より南の水深 150mより浅い砂泥底に生息しているカレイの仲間です。
砂に隠れているゴカイの仲間や小型の甲殻類などを食べて、25cmくらいにまで成長します。
鱗の形が違うことで見分けることができるのですが、よく似た種類にメイタガレイ(Pleuronichthys cornutus)がいます。

カレイの仲間は、漁獲されるとぬるぬるした粘液をたくさん出すので、滑りやすい体を避けて、眼の部分をつかんで持ちます。
メイタガレイの仲間は、平たい体から飛び出すように付いた眼の間に、鋭い棘があります。
そこをつかんで持つと、棘が刺さってとても痛いので、“眼痛ガレイ”と呼ばれるようになったといわれています。
海の中では、身を隠している砂の中から、辺りのようすをうかがうために飛び出した眼が、他の魚に狙われやすいのでしょう。
大事な眼を守るために備えた武器が、名前の由来になっているのは面白いですね。

相模湾ではナガレメイタガレイやメイタガレイが、定置網や刺し網で漁獲されています。
お刺身で食べるには、メイタガレイの方がおいしいといわれています。
から揚げや煮つけで食べるには、どちらもかわりなくおいしいので、2種をあまり細かく分けていない場合も多いようです。

定置網漁の乗船させていただくと、カレイの仲間は暗闇の中に白いお腹が目立つので、とても採集しやすい種です。
定置網漁で採集したナガレメイタガレイは、シラスサイエンスで展示していますので、砂の上を探してみてください。
眼とおちょぼ口がユニークで、とてもかわいいです。

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