2020年12月30日
トリーター:岩崎

相模湾旬の魚図鑑 3rd season その12 コブダイ

最強寒波が押し寄せる年末年始となりました。
今年最後に紹介するのは、コブダイ(Semicossyphus reticulatus)です。

沿岸の岩礁周りに生息しているコブダイは、貝やエビ、カニなどの甲殻類が好物で、硬い殻を頑丈な歯で噛み砕いて食べます。
最大で120cm以上にまで成長するコブダイは、名前にコブと入っているように、成長した雄の頭に巨大なこぶが出現します。
若いコブダイはすべて雌なのですが、その中で強く大きい個体が性転換して雄になり、縄張りをつくります。
雌は縄張りの中で、雄に守られながら安心して生活することができますが、雄同士は縄張り争いを繰り広げることになります。
雄同士の争いを解決する手段として、巨大なこぶが役立ちます。
口を大きく開けたり、自慢のコブや、体の大きさをアピールしたりして、お互いに威嚇、かなわないと思った相手が逃げることで、大けがを負うような咬み合いやぶつかり合いを避けながら、争いに決着をつけるわけです。

コブダイは、冬に旬を迎えることから寒鯛(カンダイ)とも呼ばれています。
刺身はもちろんのこと、出しを効かせた鍋料理や、煮物、焼き物などでおいしくいただけます。
相模湾では、定置網や刺し網などで漁獲されるほか、磯の大物釣りの対象としても人気があります。

“えのすい”では、若い雌個体を相模湾大水槽で、コブが大きく成長してきた雄を岩礁水槽で展示しています。
名前にタイと入っていますが、分類学的にはベラの仲間で、この魚たちは夜になると岩陰に隠れたり、砂に潜ったりして、眠ることが特徴です。
コブダイも例にもれず、暗くなると寝てしまいます。
明るい日中は、目をぎょろぎょろ動かしながら水槽内を泳いでいますので、探してみてください。

バックナンバー
2020/11/28 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その10 マサバ
2020/10/04 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その9 チカメキントキ
2020/09/01 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その8 ナガレメイタガレイ
2020/08/01 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その7 イシガキダイ
2020/06/29 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その6 イシダイ
2020/05/30 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その5 カタクチイワシ
2020/04/30 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その4 カンパチ
2020/03/30 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その3 チダイ
2020/02/29 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その2 ワカメ
2020/01/29 相模湾旬の魚図鑑 3rd season その1 ヒラメ

相模湾ゾーン

RSS