最強寒波が押し寄せる年末年始となりました。
今年最後に紹介するのは、コブダイ(Semicossyphus reticulatus)です。
沿岸の岩礁周りに生息しているコブダイは、貝やエビ、カニなどの甲殻類が好物で、硬い殻を頑丈な歯で噛み砕いて食べます。
最大で120cm以上にまで成長するコブダイは、名前にコブと入っているように、成長した雄の頭に巨大なこぶが出現します。
若いコブダイはすべて雌なのですが、その中で強く大きい個体が性転換して雄になり、縄張りをつくります。
雌は縄張りの中で、雄に守られながら安心して生活することができますが、雄同士は縄張り争いを繰り広げることになります。
雄同士の争いを解決する手段として、巨大なこぶが役立ちます。
口を大きく開けたり、自慢のコブや、体の大きさをアピールしたりして、お互いに威嚇、かなわないと思った相手が逃げることで、大けがを負うような咬み合いやぶつかり合いを避けながら、争いに決着をつけるわけです。
コブダイは、冬に旬を迎えることから寒鯛(カンダイ)とも呼ばれています。
刺身はもちろんのこと、出しを効かせた鍋料理や、煮物、焼き物などでおいしくいただけます。
相模湾では、定置網や刺し網などで漁獲されるほか、磯の大物釣りの対象としても人気があります。
“えのすい”では、若い雌個体を相模湾大水槽で、コブが大きく成長してきた雄を岩礁水槽で展示しています。
名前にタイと入っていますが、分類学的にはベラの仲間で、この魚たちは夜になると岩陰に隠れたり、砂に潜ったりして、眠ることが特徴です。
コブダイも例にもれず、暗くなると寝てしまいます。
明るい日中は、目をぎょろぎょろ動かしながら水槽内を泳いでいますので、探してみてください。
バックナンバー
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