2024年09月27日
トリーター:藤田

ウツボ好きトリーターのウツボの話 21

みなさんこんにちは。
最近は秋めいた気候の日が多くなってきましたね。
夜は肌寒い日も多く、風邪も流行っているようなので体調管理に気をつけていきましょう。

先日、相模湾大水槽で暮らすウツボにある変化が起こっていることに気がつきました。

こちらのウツボこちらのウツボ

一見するといつも通りのウツボに見えるかもしれませんが、お腹に注目してみてください。かなり膨らんで見えます…!
ちょっと遠くから見てみるとお腹がパンパンに膨らんでいるようすがうかがえます。

お腹がパンパンのウツボお腹がパンパンのウツボ横たわるウツボ横たわるウツボ

たいていは表から見えない暗がり(夜行性のネコザメたちが日中休んでいるところ)にじっと横たわっていて、泳ぐようすもあまり見かけません。
ごはんの食べ過ぎではないでしょう!
おそらくこれは抱卵している産卵直前の雌ウツボだと思われます!
このウツボは昨年2023年の10月に“えのすい”へやってきたので、もうすぐ飼育歴 1年になります。
この 1年間ほぼ一定水温で保たれた相模湾大水槽で飼育されていたにもかかわらず、自然に抱卵したということに正直驚きました!

また、近年の研究によりウツボの繁殖期は夏であることがわかっており、その中で少しずつウツボの繁殖行動に関する知見が報告されてきています。
野生下でペアを形成しているウツボが観察できるのは 7月頃からの夏休みシーズンです。
“えのすい”でも 7 ~ 8月はもしかしたらウツボが産卵するかもしれない! と頭の片隅では意識していたのですが、 ばたばたと過ごしているうちにあっという間に 9月末です。
9月も終わるというこのタイミングで抱卵した雌が現れたのは予想外でした。

実は過去にも相模湾大水槽で抱卵したミゾレウツボやユリウツボといったウツボの仲間たちはいたのですが、5月や 6月などやや季節外れのことが多く、残念ながら卵詰まりを起こす結果となってしまっていました。
先日の日誌で紹介した共同研究のウツボの産卵行動実験の個体は、抱卵した雌の野生個体を搬入して相模湾大水槽内で産卵したので、今回のように飼育個体が抱卵するのとはまた少し違ったパターンといえます。
このウツボは今後もしかすると産卵するかもしれないし、いつの間にかお腹がへこんでぺらぺらになっているかもしれません。

また、近くにいる固定のウツボがいるわけではなさそうなので、ペアは形成されていないのかもしれません。
それか観察したタイミングがちょうど雄個体が離れているときだったのか…。
私が観察したときに一番近くにいたのが「ラックス」という相模湾大水槽の中で最も古株の個体なのですが、たまたまそこに「ラックス」がいただけかもしれないしなぁ、と確証はありません。。

「ラックス」が寄り添っている??「ラックス」が寄り添っている??

良い続報がお知らせできることを願いつつ、今後の動向に注目しながらしっかり見守りたいと思います。

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